死亡生徒への校長の弔辞紹介

渥美線電車機銃掃射/前日の会 母校・豊橋の老津小で出前授業/「悲惨な時代」児童ら平和の尊さかみしめる

2026/06/17

校長が定さんに宛てた弔辞について説明するおいの彦坂敏さん(老津小学校で)

 太平洋戦争終戦前日の米軍機による「渥美線電車機銃掃射」で、亡くなった愛知県立成章中学校(現成章高校)1年の彦坂定さんに宛てた校長の弔辞が、定さんの母校にあたる豊橋市の老津小学校の出前授業で紹介された。「後輩」の子どもたちは「悲惨な時代」と受け止め、平和の大切さをかみしめていた。出前授業を開いた田原市の市民グループ「前日の会」(彦坂久伸代表)は、「戦争はだめだとわかってもらえたのではないか」としている。

 ■心に大きな傷
 会によると、定さんは下校途中の終戦前日の1945年8月14日昼頃、現在の田原市を走る渥美線の電車が米軍機の機銃掃射を受け、乗客ら14人とともに死亡。16人が負傷した。成章中の校長が定さんにささげた弔辞は、おいの敏さん方で見つかり、会に提供された。

 11日の出前授業では、会が招いた敏さんは弔辞を取り上げ、「残された人は戦争で敵を倒す」との趣旨の内容を説明。そのうえで「敗戦までの8月14日夜から15日午前までに届けられたのでは」と推測した。併せて見つかった定さんの死亡診断書の写しと県知事の弔意にも触れた。

 この惨事で助かった老津出身の「定さんの同級生」という人が訪ね、「自分が電車に乗ろうと誘い、(結果的に)定さんを死なせてしまった」と祖母に謝った秘話を打ち明けた。「戦争は亡くなった家族だけでなく、生き延びた友達を含め心に大きな傷を残す」と強調した。

 彦坂代表は、提供を受けた死亡診断書の写しから「定さんが午後2時頃、貫通銃操(創)で死亡」と確認できたと感謝したうえで、校長の弔辞とほぼ同じような「米英撃滅」の看板が老津小の前身の老津国民学校の玄関に掲げられていたと述べた。

 ほかに機銃掃射の様子を現した紙芝居『前日物語』の上演や、20年6月の豊橋空襲で死者はなかったものの、焼夷弾100発以上が落とされて老津の民家2戸が全焼し、被害が出たと言及した。

 ■つかんだ平和
 出前授業を受けたのは6年生31人。その一人で歴史好きの彦坂輝君(11)は「戦争は人が死ぬだけでやってはいけない。負けてつかんだ平和を大切にしていきたい」と語った。

 定さんのほかに老津国民学校を経て同時に入学した成章中の2人も亡くなっている。老津小では、前日の会が2015年から始めた出前授業を「平和学習」の一環として受け入れており、今回で10回目。15日も田原市の現場であった。

 今田泰代校長は「亡くなった『先輩』が住んでいたところや年齢もほぼ同じで、子どもたちにとっては、人ごとではないと思えたのでは。そうした気持ちを今後の学習に役立てていきたい」と話した。

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