この人に聞く 

「北部地域医療の柱となる」

第2回/山口俊介 光生会病院院長

2026/06/17

山口俊介

 豊橋市北部の急性期医療を担う光生会病院に今年4月、山口俊介・新院長が誕生した。小坂井出身の山口氏は自治医科大学卒業後、名古屋大学大学院で食道外科を専門に研鑽を積み、義務年限では僻地医療にも従事。50歳を機に「地元で内科に取り組みたい」と決意し、2011年に同病院に赴任した。以来15年、副院長として前院長・金子医師とともに同病院の急性期機能を支え続け、この春、その職責を引き継いだ。

 山口氏が副院長時代から力を入れてきた取り組みの一つが健診部門の拡充だ。同グループの人間ドック件数は愛知県で3番目を誇るが、胃カメラの予約は現在8~9カ月待ちという状況が続く。今年度は設備増強の第1段階工事を完了させ、1日当たりの胃カメラ施行件数を20件体制に引き上げる計画が動き出した。婦人科検診台の増設やマンモグラフィー機器の更新にも着手し、女性が受けやすい環境の整備も進める。

 内視鏡への思い入れは深い。外科から内科に転じて初めてその世界を知った時、「早期に内視鏡で発見さえすれば、開腹手術いらずで切除できる。外科手術とは全く違う世界だ」という実感が、定期検診の普及に力を注ぐ原点となった。3年以内に胃カメラを受けた人は胃がん死亡率が低いとする米韓の論文にも着目し、定期検診の意義を患者に根気強く伝えている。今後は藤田医科大学と連携し、腹腔鏡・ロボット手術の導入も視野に入れている。

 もう一つの軸が「薬を減らす医療」だ。外科から内科へ転じた山口氏は、入院患者の処方薬を必ず全件確認し、重複や不要な薬を整理することを欠かさない。コレステロール値や血圧が高い患者には、投薬の前にまず頸動脈エコーや血管硬度検査で動脈硬化の実態を確認するよう勧め、生活習慣の改善を優先させる。「薬の出し方だけを医療と考えるのは違う。本当の健康は、薬をいかに減らせるかにある」というのが山口氏の信念だ。

 急性期医療については、市民病院や医療センターとの役割分担を明確にしながら、かかりつけ医では対応しきれない不安を抱えた患者を丁寧に診ることが豊橋市全体の医療を支えると位置付ける。「健診から療養型まで持っているのはグループの強み。みんなで相談しながら患者の生活環境も含めて考える医療を、豊橋北部に根付かせていきたい」と語り、地域医療の底上げへ意欲を見せた。

                     ※次回は22日付掲載予定。

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