学校側の思いと学習の歩み 「伝える大切さつないで」/10回を数えた老津小平和学習 ⑤
2026/08/18

平和学習を担当する6年生担任の髙柳教諭㊨と今田校長(老津小学校で)
10回を数えた豊橋市の老津小学校の平和学習で、6年生が戦争の悲惨さや平和の尊さなどを「伝える」と決めたことに、学校は手応えを感じている。指導する担当者は2年連続で6年生の担任を務め、学習時間を増やして力を入れている。連載最後の5回目は、その仕上げとなる11月の学習発表会に向け、学校側の思いを取り上げるとともに、学習の歩みについても振り返る。
■自分事に捉える
平和学習を担当するのは髙柳裕美教諭。教員歴24年のベテランだ。前任の中学校の時、太平洋戦争で原爆が投下された広島県の出身である同僚が、戦争体験者を招き平和学習を行っていたことに衝撃を受け、「機会があれば担当したい」と思うようになった。
念願がかない、初めて取り組んだのが赴任2年目の昨年。今年も6年生を受け持ち、4年生の時も今のクラスの担任を務めていた。その際、今年も出前授業を行った元教員で地元の鈴木敬さんに頼み、「老津の海」の出前授業に、地元の戦争の話を加えてもらった。
5月から始まった平和学習では、6年生が朝、戦争や平和をテーマにした本を読み続けている。これまでの出前授業で豊橋空襲の体験者らの声を聞き、終戦前日に今の田原市で起きた「渥美線電車機銃掃射」で多くの乗客らが死傷した惨事の説明を受けて現場を見学し、地元の戦争の話に耳を傾けた。
学校では、昨年と比べ平和学習に多くの時間を割き、出前授業を受け入れる回数も増やした。このため、「自分には関係ない話」と戦争を捉えていた6年生に意識の変化が生まれ、徐々に「自分事」と思うようになった。
髙柳教諭は「意識の変化によって、戦争の悲惨さを『伝える』ことが平和につながると子どもが考えたのでは」と喜び、さらに出前授業を通して「一番学んだのは私」と感謝する。
学習発表会「はばたきステージ」では、他の学年や関係者に向けて披露する。劇やスライド上映、クイズ、紙芝居などが候補に挙がっている。
■つなぐこと大切
老津小の平和学習は、総合的な学習の時間を利用して2016年1月から始まった。当時、機銃掃射の惨事を語り継ぐ田原市の「前日の会」(前身団体を含む)の出前授業を受け入れたのがきっかけ。コロナ禍の時期を除き10回を数え、戦争体験を学ぶ伝統的な取り組みとして定着している。背景には惨事で亡くなった15人のうち3人が老津小の先輩だったという痛ましい出来事がある。
今田泰代校長は「生まれ育った地域の方が被害者だからこそ、学んだ子どもが自分事として考えたのでは」と惨事が平和学習の原点と捉える。その上で今回のテーマ「平和のバトンを未来へつなごう」を例に、「つなぐことが大切。バトンをつないでいってほしい」と後に続く教職員に願いを託す。
(おわり)