オープンファーム始めてから3年/コロナや豪雨の不運を乗り越え/豊橋市の実行委・尾崎委員長に取り組みなど聞く
2024/02/06
オープンファームの今後の取り組みや進め方を語るオープンファーム実行委員会の尾崎幹憲委員長(豊橋市内で)
開放された農場を巡って農産物のショッピングを楽しむ「オープンファーム」(OF)を始めて丸3年、6回目となった昨年11月で来場者は延べ約5600人となり、5000人を突破した。コロナウイルスの影響で中止、台風に伴う集中豪雨直後の開催など不運があったものの、人出は順調に増えたように思えるが…。東日新聞は、主催する豊橋市の「オープンファーム実行委員会」の尾崎幹憲委員長に過去の取り組みや今後の進め方などを聞いた。
―来場者5000人の突破をどう受け止めるか
コロナに悩まされ豪雨の影響で、来場者はなかなか伸びなかった。今の時点では一つの通過点といえる。当初、農業に関心を寄せた来場者の声を生産者がどう生かすか、OFを始めた狙いの一つであった。その意味を理解し、生産現場に反映すれば来場者はまだまだ増えるだろう。
―コロナと豪雨で大変だった
来場者を誘致するため2回目に予定していた生産者を巡るバスツアーが中止に追い込まれた。5回目の昨年6月、豪雨の直後で東三河では至るところで道路が通行止めとなり、来場者は4回目の3分の1まで落ち込んだところもあった。他で補い5回目と同じ来場者を維持した。
―回を重ね、来場者の変化はどうか
普段見られない農園が見られるなど利点が大きいことで、来場者は東三河を中心に愛知県内に広がり、他県まで及んでいる。OFを楽しみ、その前日に宿泊する来場者もおり、東三河を中心に経済効果をもたらしているのではないか。
―一方で、生産者の意識は変わったか
農作物を育てることに力を注ぐ生産者が、来場者と接し仕事への考えやアイデアが生まれるきっかけにつながっている。その結果、複数の生産者が同じ場所に「出店」する拠点化が進み、大変うれしい。農業関連の異業種の参入もあり、とてもありがたい。
さらに「非営利」であるため東海農政局や県、豊橋、豊川、田原の3市が後援し、そのバックアップによって来場者が信頼を寄せているようだ。
―課題は何か
平均して生産者側の駐車場が狭く、生産者のアピールも弱い。十分な駐車場の確保とともに、SNSなどで積極的にPRしてほしい。何よりも需要、供給のバランスが大切だ。しかし、どこかの時点で生産者が少なく、来場者は多くなり需給のバランスが崩れるのではないかと心配する。そうならないためにも生産者は意欲を持って積極的に参加してもらいたい。そのことが日本の農業を強くしていく一つになるだろう。
―目指すものは
今の年2回のOFでは季節に採れない農産物もあり、参加できない生産者もある。毎月1回、全国規模で開き参加する100の生産者、1万人の来場者を目指したい。
開放された農場を周遊しながら農産物などのショッピングを楽しむ農業イベント。実行委員長でコチョウランの生産、販売を手掛ける豊橋市細谷町の「リーフ」の尾崎幹憲社長が呼びかけ、2020年11月に始めた。基本的に開催が年2回で、生産者などの過去最多が5回目の54。来場者が4回目と豪雨で影響を受けた5回目が、ともに延べ約3500人とこれまで最多だった。