渥美窯46年間 集大成の展示会

田原市渥美郷土資料館で29日まで魅力紹介

2024/02/26

展示会場に並ぶ渥美窯陶友会の作品(渥美郷土資料館で)

 渥美半島で平安時代終わりから鎌倉時代に栄えた渥美古窯(こよう)を意識して陶芸をしてきた渥美窯陶友会(新渥美窯、清田明代表)の歩みを見ることができる展示会「中世渥美古窯と渥美窯の46年」が29日まで、田原市渥美郷土資料館で開かれている。46年間の集大成といえ、24日にはシンポジウムも開かれた。

 同陶友会は1977年の発足。常滑市出身の陶芸家、江崎一生氏(1918~92年)の勧めで、旧渥美町(同市)の故清田和夫さんが所有していた鶏舎跡に渥美窯を再現した窯を築いた。会員は意欲的に制作に取り組み、豊橋などで作陶展を開催し、4回の東京展も成功させている。高齢化などで半年間の活動休止があったが、2022年7月に再開した。

 展示会は、陶友会の歴史を物語る作品の数々が並ぶ。渥美半島の土と薪(松)、釉薬を使い生み出されたたくましさ、やさしさを兼ね備えた焼き物の数々。江崎氏の大皿をはじめ、黒田寛一元会長や前会長の大島邦男さんら初期メンバー、第2期の会員、現会員13人の作品が飾られている。出土品も含め、計80点余りが展示された。

 会場では手に取れる作品も並べられ、来場者が土を感じられるようにしている。

 シンポジウムは渥美文化会館であり、市博物館の天野敏規館長が渥美古窯を説明した。伊良湖や汐川、梅田川、柳生川などの田原、豊橋両市の6地区で約600基の窯が確認され、「渥美半島がほぼ窯だらけだったと言える」と紹介。窯の構造は山の斜面をくりぬいた穴窯で、代表的な窯跡に国史跡の伊良湖東大寺瓦窯跡などがある。「渥美古窯の姿を見られる」と田原市皿焼古窯館も紹介した。

 約200年で衰退したが、生産された焼き物はその間に全国展開され、「今で言う全国ブランドになり、奥州平泉などで多く出土、奥州藤原氏が好んでいた」と話した。

 渥美窯陶友会の前会長、大島さんも登壇。戦後の豊川用水整備の際、穴窯が出土し、渥美古窯が注目されたという。陶友会発足時から作陶活動を続ける大島さんは「渥美窯の魅力、焼き物を知ってもらい、使ってもらいたい」と述べた。
 渥美郷土資料館は月曜休館。

展示会の会期中に行われたシンポジウム(同)

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