技科大などが複数遺伝子自動検査装置開発

ウイルス検出効率化/食品・農業・医療分野での活用期待

2025/02/22

遺伝子自動検査装置

 複数の検体から数種類のウイルスを同時に検査できる卓上型の遺伝子自動検査装置を、豊橋技術科学大学などの研究チームが開発した。装置は従来のPCR法より効率よく短時間で検査ができ、農業・食品分野での利用や、新型コロナ・インフルエンザ同時検査など医療分野にも広がることが期待される。

 装置の開発は、県の「知の拠点あいち重点研究プロジェクトⅣ期」の1つとして、同大学機械工学系柴田隆行教授が研究リーダー、龍城工業(みよし市)が事業化リーダーとなって行われた。

 遺伝子の検出には、新たに開発した直径70㍉、円盤状の「遠心検査チップ」を使用。チップは、検体と試薬の混合液を4つまで注入でき、装置にセットして回転させると、遠心力によって検体が5つの反応容器に分かれて流れる仕組み。ヒーターで加温して遺伝子を増幅させ、各反応容器の色の変化をカメラで検出して遺伝子の増幅曲線をグラフ化、陽性・陰性の判定までを自動で行うことができる。

 従来のPCR検査は、検出したいウイルスごとに試薬を添加するなどの作業に時間を要していたが、装置は複数の検体から同時に数種類のウイルス検査を効率よく行うことができる。幅、高さ、奥行きが36㌢ほどの大きさ、重さが16㌔程度で持ち運びも可能。食物アレルギーや病気になった農産物のウイルスの検査など食品・農業分野での実用化を想定しており、将来的に医療分野での利用の可能性もある。

 柴田教授は、20日に大学内で開かれた会見に出席。「装置の製造に150~200万円かかる。目標は100万円以下にして、農家やクリニックに置いてほしい」と述べ、「医療分野の市場は150億㌦あり、その1%でも230億円ある」と事業化への期待を示した。

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