「津波は内陸まで」現実味/八百富神社に白蛇2匹出現―関係者も納得/南海トラフ巨大地震への備え万全に
2025/05/02
八百富神社の灯籠で発見された2匹の白蛇(大社神社提供)
いつ起きても不思議ではない南海トラフ巨大地震。東三河で起きうる被害は歴史から推測できる。豊川市国府町の大社神社に伝わる白蛇伝説は南海トラフで発生した江戸時代の宝永地震が起因とされ、東三河内陸部にまで津波が襲来したことを示している。
5月11日まで開かれている蒲郡・竹島の八百富神社巳(み)年式年大祭。約300年前、竹島の弁財天と使いの白蛇(宇賀神)が津波で流され、東に約8㌔離れた国府村(現・豊川市国府町)に流れ着き、村人たちがほこらを築いてまつったことで始まった祭礼だ。
現実と思えない昔話だが近年、八百富神社の灯籠(ろう)で2匹の白蛇が休んでいるのが発見された。珍しい白蛇の出現に関係者も「やはり伝説は本当だった」とうなずいた。
約300年前に大津波を引き起こしたのは、1707(宝永4)年10月の宝永地震と推測される。南海トラフのほぼ全域でプレート間の断層が破壊され、関東から九州までの広い地域を激しい揺れと津波が襲った。49日後には富士山が噴火した。
南海トラフ地震で東三河を襲う津波の高さは、太平洋に面する田原市で最大22メートル、豊橋市で17メートル、内海の三河湾に面する蒲郡市は5メートル、豊川市は4㍍と想定される。埋め立て地の拡大などで江戸時代とは地理的条件が異なるが、白蛇が蒲郡沿岸部から豊川西部まで漂流した伝説は、内陸部でも津波に注意する必要があることを裏付けている。
大社神社の鈴木忍宮司は、町内の国府小学校の校舎から御津町の海岸が目視できることを挙げて「国府まで津波が来る可能性は十分にある」と警鐘を鳴らす。