新アリーナ計画の住民投票/計画継続に「賛成」多数
2025/07/22
住民投票での勝利を喜ぶ賛成派グループの関係者ら(20日夜、豊橋市内で)
多目的屋内施設(新アリーナ)を含む豊橋公園東側エリア整備・運営事業の賛否を問う住民投票で、計画継続に「賛成」が多数となったことを受け、長坂尚登豊橋市長は事業を再開する方針だ。ただし有権者の4割余は「反対」に投票していて、市民融和に向けた対応も求められる。
住民投票から一夜明けた21日、記者団に語った。長坂市長は「早く事業を再開し、公園や多目的屋内施設を使えるようになることが望ましい」と述べた。
一方で「賛成多数でありつつも、それなりの数の反対意見もあった」と指摘。「課題を少しでも解消でき、多くの人の理解をもらえるよう進めていかないといけない」と付け加えた。
開票結果は事業継続に「賛成」が10万6157票、「反対」は8万1654票だった。
かねてから長坂市長は、住民投票の結果を尊重する意向を示していた。
計画推進派の市民団体「新アリーナを求める会Neo」の小林佳雄代表は21日に出した声明の中で、投票運動を通じて市民から寄せられた意見で、交通渋滞への対応▽駐車場の確保と運用▽公園近隣住民の方々への十分な配慮―があったとして「これらを一つひとつ丁寧に検討・対話し、より良い整備を目指していく」とした。
計画に反対してきた市民団体「豊橋公園の緑を未来につなぐ市民の会」の藤田茂樹共同代表は20日夜、記者団の取材に「計画が市民に寄り添うとは思えない。企業の好きなようにされてしまう」と不信感をあらわにし、「住環境は絶望的だ」と語った。
同事業をめぐっては、事業者との契約締結の約1カ月半後にあった昨年11月の市長選で、中止を掲げた長坂氏が推進派の候補らを破って初当選。就任後すぐ事業者の特別目的会社「豊橋ネクストパーク」に対し契約解除に向けた協議を申し入れたが、両者の主張は平行線とみられ、その間約8カ月にわたり工事が中断している。
計画では、事業者が公園東側エリアにスポーツやコンサート、展示会などでの利用が想定される新アリーナを建設し、老朽化した武道館の機能も移す。エリア内にはテニスコートや広場を再整備。これらの施設整備費と30年間の維持管理費を合わせて約230億円で市と事業者が契約を交わした。