豊川海軍工廠空襲から80年/大学生が読み上げる誓い 高校生は演劇で戦争描く/若き世代〝語り部〟継承
2025/08/08
平和への誓いを読み上げる夏目さん㊨と片岡さん(豊川市文化会館で)
2500人以上が亡くなった豊川海軍工廠(しょう)への空襲から80年となった7日、豊川市は市文化会館で平和祈念式典を開き、遺族や来賓、市民ら1250人が参列した。大学生による平和への誓いや高校生の演劇で、若い世代が戦争の歴史を後世に伝える役目を負った。
式典では、1分間の黙とうや来賓らによる献花の後、竹本幸夫市長が戦後50年を機に発出した「平和都市宣言」を読み上げ「今を生きる私たちは戦争の恐ろしさを深く胸に刻み、この地で起こった悲しい出来事の記憶が風化しないよう平和の大切さを語り継いでいかなければなりません」と訴えた。
今年は初めて私立豊川高校演劇部による創作劇「すけっちぶっく」が披露された。戦時中と現代の2つの時代で構成され、工廠に動員された女学生たちの日々を回想しながら、ウクライナ戦争など現代の世界情勢ともリンクする物語を、生徒たちが熱演した。
主役の山口あかねを演じた佐伯莉緒奈さん(2年)は「こんなに大勢の前で演じるのは初めてなので緊張した。平和の大切さを訴えようと意識して臨んだ」と振り返った。
また、高校時代から工廠跡地の平和公園で語り継ぎボランティアガイドを務める立命館大学4年の夏目和佳さん(22)と愛知県立大学4年の片岡優美さん(21)が平和への誓いを読み上げ、減っていく戦争体験者の声を次世代に伝える大切さを訴えた。2人は「こんなに感情が出るとは思わなかった」「どんな未来が来るかを考える貴重な機会になった」と振り返った。