市民自治根付かせる「実験」

新アリーナ計画住民投票以降広がる賛否両派対話/市議ら交え疑問点など検証/真剣だからこそ見える課題―よりよいまちづくりの力に/豊橋

2025/08/17

新アリーナ計画についての勉強会(豊橋市公会堂で)

 豊橋市の多目的屋内施設(新アリーナ)計画は住民投票で事業の継続が決まった一方、この計画が内包する疑問点や問題点を検証しようとする動きが市民の間から出ている。住民投票から続く一連の流れは、市民自治を根付かせるための「実験」だ。

 16日、市公会堂の一室でアリーナ事業についての勉強会が開かれ、市民ら約10人が集まった。同事業に関する市議会の調査特別委員会の松崎正尚委員長と小林憲生市議も出席。参加者からの質問に両氏が答える形で会は進められた。

 ある女性は、新アリーナに含まれるサブアリーナの利用料金を抑え、市民の先行予約制を導入してほしいと希望を述べた。松崎氏は「税金でつくられるので、われわれからも事業者に要望を出せたら」と応じた。

 主催したのは、市民団体「とよはし『市民て~ぶる』会議」。同団体は「あごら」と呼ぶこうした対話の場を今月11日も開いていて、この日が2回目。古代ギリシャで市民が集まり議論した広場を意味する「アゴラ」に由来する。

 7月の住民投票では計画に「賛成」が10万6157票で「反対」の8万1654票を上回った。この結果を受け長坂尚登市長は、事業者との契約を解除する方針を取り下げ、事業再開へとかじを切った。

 事業継続が決まった後も市民にできることがあると考えた同団体代表で元市議の渡辺則子氏は、あらゆる意見を持つ人が対話する勉強会を企画した。「豊橋を良くしたいとの方向は一緒」と言う渡辺氏は「アリーナのおかげで、まちについて考えるようになった。感謝している」と話した。

 松崎氏は住民投票後、賛否両派が「話を穏やかにできる場をわれわれも望んでいた」と対話の機会を歓迎。「真剣に反対していた人だからこそ見える課題が見えてくると思う。委員会や議会の中で、より良い豊橋のまちづくりとしての多目的屋内施設や豊橋公園ができるよう動いていきたい」とした。

 会に参加した牧野規予さんは「新アリーナを造ると決まったからには、より良いものにしたい」と語った。

 同団体は勉強会をあと1回開き、議論された中身を報告書にまとめて今月中に長坂市長と小原昌子市議会議長に提出する予定。

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