人間味あふれる崋山像描く

「崋山先生の画帖」単行本発行/豊橋

2025/08/23

著作を持つ住田さん(東海日日新聞社で)

 豊橋市のライター、住田真理子さんが本紙で2024年1月から1年余り連載していた新作長編小説「崋山先生の画帖」が、単行本として発行された。田原市ゆかりの偉人、渡辺崋山の半生を周辺の人が語る時代小説で、人間味あふれる新しい崋山像が描かれている。

 執筆のきっかけは、崋山が残した日記や手紙を読む機会に恵まれたことだった。江戸後期の田原藩家老で蘭学などを研究し、幕政を批判したため蛮社の獄で罪に問われた崋山は、のちに修身の教科書に載り、偉人としてまつり上げられた。だが、その資料の中の崋山は違った。「好奇心旺盛で、町人や百姓とも身分関係なく親しく交流する〝気のいいおじさん〟なんです。本当はこんな人だったのかという驚きがありました」。

 切腹で物語が終わるのが惜しく、最後の画(章)では崋山の同志であり弟子でもある田原藩隠居、三宅友信が、蛮社の獄を起こした鳥居耀蔵に仇討ちに行く。

 果たして仇は討てたのか。ぜひ読んで確かめてもらいたい。

 出版記念イベントが10月18日午前10時から、豊橋市の穂の国とよはし芸術劇場プラットで開かれる。本書の時代考証と監修を担当した元愛知大学教授、別所興一さんと住田さんの対談、本の朗読、社本善幸さんによる挿絵の原画の展示などがある。

 風媒社発行、定価2000円(税抜き)。各書店のほか、Amazonでも購入できる。

2025/08/23 のニュース

著作を持つ住田さん(東海日日新聞社で)

有料会員募集

今日の誌面

有料会員募集

東日旗

きらり東三河サイト

高校生のための東三河企業情報サイト

連載コーナー

ピックアップ

Copyright © TONICHI NEWS. All rights reserved.

PAGE TOP