「価格転嫁」で帝国DB東海4県調査/前年比4.9ポイント低下 転嫁率40・6%
2025/09/19
価格転嫁率の推移(帝国データバンク調べ)
帝国データバンク名古屋支店が東海4県の企業を対象に実施した「価格転嫁に関する実態調査」によると、コスト上昇分を販売価格にどの程度反映できたかを示す価格転嫁率は40・6%となり、1年前から4・9ポイント低下した。価格転嫁の動きが停滞し、企業の負担が増している実態が浮かんだ。
コスト上昇分に「多少なりとも転嫁できている」とした企業は74・2%で、前回調査から5・5ポイント下落した一方、「全く価格転嫁できていない」と答えた企業は13・4%と増加した。原材料費の転嫁率は50・2%と一定の水準にあるが、人件費や物流費、エネルギーコストはいずれも3割台にとどまっている。具体的に数値化することが難しく、取引先への説明がしづらいことが要因とみられる。
業規模別では、大企業が横ばいだったのに対し、中小企業や小規模企業は転嫁が後退。業種別では「運輸・倉庫」が大きく低下し、転嫁率は前回比で10ポイント余り下落した。調査担当者は「消費者の節約志向や値上げへの抵抗感が強まり、さらなる価格転嫁に踏み切れない」と指摘する。
背景にはエネルギー価格の高止まりや人手不足による人件費増もあり、企業努力だけでは吸収できない負担が重い。報告書は「最終消費者の購買力を高めることが停滞打開の鍵」とし、賃上げや可処分所得の増加が必要だと結論づけた。
調査は東海4県の2905社に実施し、1209社から回答を得た。