アグリテックコン入賞企業が存在感/市も成果に手応え/ 農業経営改善へ「ぜひ活用を」
2025/09/26
除草剤を散布する「ウネマキ」(豊橋市提供)
豊橋市内での実証実験を経て畑の草を刈ったり、農薬をまいたりする小型ロボットが続々と商品化されている。きっかけは、企業がアグリテック技術を競うコンテスト。農業経営にどういった改善をもたらすか注目される。(中嶋真吾)
畝の間を遠隔操作で自走する「ウネマキ」には、雑草を枯らす除草剤を散布する機種と、除草剤に加え病気や害虫から作物を守る防除剤もまける機種の2種類がある。ともに長さ110㌢、幅35㌢、高さ49㌢。容量は46㍑か23㍑で、バッテリー2本で1時間稼働できる。
ベンチャー企業の「FieldWorks(フィールドワークス)」(新潟県長岡市)が開発した。同社はテクノロジーで農業課題の解決を目指す豊橋市主催の「アグリテックコンテスト」で2023年度に入賞。実証実験を行い先に商品化した草刈りロボット「ウネカル」をベースに、生産者の意見を聞いて着想から1、2カ月ほどの短期間で形にした。
ウネマキを活用すれば従来のように作業者が薬剤で濡れる心配はなく、トラックの荷台に置いたタンクから長いホースを延ばす必要もない。人手では難しい葉の裏側を含め、むらのない効率的な散布が可能だという。
同社は、このロボットを希望する農家に貸し出す。10月31日までのレンタル期間に改良点が見つかれば手を加え、12月に発売予定。除草剤のみをまく機種の価格は59万8000円~、防除剤にも対応できる機種は79万8000円~。販売中のウネカルの価格は98万7800円~。
市地域イノベーション推進室の小野健太郎室長補佐は、コンテスト参加企業のアイデアが商品化される例が増え、「成果につながっている」と手応えを感じている。一方で「商品化がゴールではない。使ってもらうことで農家の経営改善を目指している。ぜひ活用してほしい」と話す。