伊良湖のガソリンスタンド跡地をカフェに
2025/09/26
壁に描かれた絵と制作した大学生ら(田原市伊良湖町で)
景勝地で知られる田原市伊良湖町で、ガソリンスタンド(GS)跡地をカフェによみがえらせるプロジェクトが進んでいる。開店に向けた改修が行われており、地元・田原出身の大学生らが手がけたカラフルな壁画がお目見えした。
年内にオープン予定の「café SUBMARINE」ができるのは、伊良湖岬・恋路ヶ浜手前の国道259号沿い。通行人、ドライバーからも目に入る長さ26メートル、高さ2・2メートルの壁には、店名にちなんだ潜水艦をはじめ、クジラやエイなど海の生き物が描かれている。
田原市高松町出身の渡辺心菜さん(20)ら大阪芸術大学短期大学部デザイン美術科(油絵専攻)の2年生4人と同科卒業生2人の計6人が今月17日から21日まで、泊まり込みで取り組んでいた。
大阪から三重・鳥羽を経由し、フェリーで伊良湖入りした6人。事前に考えていた絵に加え、乗船中に見たスナメリや、GS跡地にある構造物を生かして描いたチンアナゴなど伊良湖で感じたり、出合ったりしたことも表現したという。
カフェは、水まわりの修繕などを行う「テイク」(豊橋市)の代表取締役、竹中章裕さんが跡地を借りて営業する。同じ伊良湖で昨年、元酒屋を改修し、貸別荘「THE CAPE」を開店させた「雅トータルデザイン」(豊橋市)の代表取締役、加藤雅彦さんにこの場所を勧められた。
風光明媚(めいび)な伊良湖だが、貸別荘の宿泊客らからはカフェや出かける場所が少ないことなどを聞いていた加藤さんは、伊良湖を盛り上げたい思いがあり、豊橋でカフェを考えていた竹中さんに提案した。
目の前に広がる伊良湖の海や島々、行き交うフェリーなどを見た竹中さんは「この景色が気に入って決めました。宿泊客や地元の人たちが楽しめるカフェに」と笑顔で話す。
壁画制作でこのプロジェクトに関わることになった渡辺さんは、高校まで過ごした田原を離れ、大阪で暮らす。「田原は時間がゆったり流れ、人が優しい。壁画を通じ、田原の良さの寛容で楽しい雰囲気を感じてもらえれば」と話した。