「にっぽんの宝物」世界大会部門別でフィンガーライム
2025/10/07
「にっぽんの宝物」の世界大会「独自進化部門」で準グランプリを受賞した右から鈴木さん、豪さん、藤井さん(にっぽんの宝物提供)
「食感が素晴らしい」―。田原市で菊の生産者が手掛けた豪州原産のかんきつ系の果実「フィンガーライム」(FL)と農産物加工販売業者がFLを使って開発した加工品が、この夏に開かれた「にっぽんの宝物」の世界大会部門別で準グランプリに輝いた。「海外でも通用すると思えた」と手応えを感じ、実績を携えて販路開拓を目指す。
■プレゼン輝く
受賞したのは赤羽根町の生産者の「FingerLimeBase」と業者の「雅風」。6月の大阪・関西万博であった世界大会に出場し、鶏肉を添えたFLとFLを使って炭酸割りしたドリンク、パンナコッタにFLを加えたスイーツの3点を「独自進化部門」に出品した。
プレゼンテーションでLimeBaseの鈴木亜紀奈さんはFLの特徴や栽培の様子を説明し「栽培には有機農法を取り入れ、加工品には添加物を使っていない」と安全性をアピールした。夫の豪さんはドリンクなど2点を説明し、そのグラスの下のボタンを押すと光を放つ仕組みも紹介した。雅風代表の藤井恵美子さんは「酸味と甘みを味わって下さい」とスイーツをPRした。
審査員は世界で活躍するシェフやバイヤーら。試食の後、審査した。FLについて主催者側の代表の一人は「食感が非常に良かった。工夫されたプレゼンで輝いていた」とたたえた。「ポテンシャルも大きいと思う。ただ、リーズナブルな価格で作ってほしい」と注文を付けた。鈴木さんは「素晴らしい賞をいただき、光栄」と感謝した。
鈴木さんと藤井さんはあいち大会を経て2月末、東京都内であったJAPAN大会の新領域部門でグランプリを受賞。他に勝ち進んだ5組とともに世界大会に挑んだ。
■認知度は浸透
鈴木さんは、ハウス約1㌶の大半で菊を栽培する。しかし、菊の需要低迷で、新たな挑戦として2023年5月からFLの生産を始めた。規格外の農産物の加工販売をする藤井さんもバックアップする。
鈴木さんは「外国産のFLという珍しさでこれまで栄冠を手にしたと思っていた。今回の受賞で世界でも戦えると思えた」と感触を得た様子。あいち大会以来、数々の受賞で「認知度は高まり浸透したが、まだまだ菊の生産が主体。将来的にはFLが主力になるよう販路を開拓したい」と話した。
世界大会は、「地方の原石」を全国・世界レベルのヒット商品に育てるのが狙い。グランプリには宮城県のカフェレストランSEASAWの「浜ののりだれ」、もう一つの準グランプリには静岡県のYummyDecoの「Kawaii練りきり」が選ばれた。
◆ ◇ ◆
▪フィンガーライム 豪州原産のかんきつ系の果実。人差し指程度の実がなる。中にはキャビアのような粒状の果肉が詰まっており、「森のキャビア」とも呼ばれる。色とりどりで種類も多く、ビタミンCが豊富で栄養価が高い。食感と爽やかな酸味が特徴。