更生と自立支える地道な活動/志ある担い手募る/地域社会に不可欠な存在/豊橋保護司会
2025/10/26

保護司会の研修会の様子(豊橋市内で)
豊橋市内で犯罪や非行歴のある者の立ち直りをボランティアで支える「豊橋保護区保護司会」は、現在113人の市民が加入して活動する。更生に向けて社会との架け橋になる貴重な存在として地道な取り組みを継続。近年は保護司の高齢化や担い手不足に直面し、会は地域貢献に励む意志を持つ市民を募っている。
◆課題と新任者の手応え
会には現在、市内各校区から選出した元教員や主婦、住職など男性88人と女性25人が入会。保護観察処分を受けた者や出所した人、補導歴のある少年少女らの担当者として定期的な面談や生活に関する調整を行っている。
年齢別では60代と70代の会員が75%を占める。一定の社会的地位や人生経験が求められ、平日や日中の行動も必要なため若い世代の入会が困難な現状がある。
昨年11月に入会した50代会社経営の男性は、これまでに補導歴のある少年2人を担当。面談に来ない日や連絡が取れないこともあるというが、根気強くコミュニケーションを図って信頼を築いた。「ささいなやり取りや言動に変化が垣間見えることがある。定年まで続けようかと思う」とやりがいを感じている。
同じ時期に入会した60代の会社員女性は、少女2人を受け持った。「対象の子や保護者から感謝された時はうれしく感じた」と振り返る。外国にルーツを持つ少女は日本語が堪能でなく、やり取りに苦労したが翻訳アプリを使うなど工夫を重ねて歩み寄った。
現在は過去の人間関係を精算して勤勉に働く。「みんなに否定されてきたが、一度もだめだと言わなかった」と感謝され、保護司の存在意義をかみしめた。「打ち解けると過去の事件のことも話してくれた。可能な限り続けたい」と話している。
◆得難い存在感
近年の犯罪発生数は横ばいの状態が続くが、元受刑者などによる再犯率は増加傾向。服役者は社会復帰後の生活に苦労することが多く、規範意識を身に付けず犯罪に手を染める未成年も目立つ。
保護司は月に数回の頻度で対象者と会って順守事項などを確認。日々の出来事を「傾聴」して罪の重さや被害者の痛み、社会人としての自覚など「気付き」を与える役割も担う。
依存症や特殊な病を抱える者との距離感が困難なこともある。会は定期的にメンバーが集まって経験談を語り合い、適切な対応を考え合う場を設けている。
任期は2年で希望者は更新して活動を継続する。大半は定年の76歳まで続けることが多いという。無償の活動で自身の時間が削られる代償もある。それでも距離を保ちつつ、敵でも味方でもない透明感ある成人として向き合って地域社会にも貢献している。
29年間にわたって務める山下智章会長は「保護司の認知度を高めることも必要と感じている。自薦他薦を含めて志す人は連絡いただきたい」と呼びかける。
問い合わせは、サポートセンター=電話0532(56)4431=へ。月・水・金曜日の午前11時から午後4時30分まで。