2025/11/02
秋の褒章の受章者が発表された。東三河の受章者のうち3人に、これまでの足跡や喜びの声を聞いた。
造園業に従事し、街路樹など樹木の整備に関わってきた。道路や公共施設などの緑を育て、草取り作業などを通じて快適な環境を保つのが仕事だと話す。
「野外の仕事なので夏は暑く、冬は寒い。しかし、多くの利用者に快適で安全な環境を提供してきた自負がある」と語る。誠実に業務にあたることを旨とし、まちの緑を支えてきた。
「最近は、街路樹がだんだん減少している。街路樹を維持するにはお金がかかるため仕方がないとは思うが寂しいことだ。道路や施設の緑は行き交う人の心のいやし。大切にしたい。木は長生き。私が若い頃植えた木が、何メートルもの大木になって今も生きているのを目にすると、仕事のやりがいを感じる」と笑顔を見せる。
県造園建設業協会の会長を3期6年務めた。「人材確保が困難な時代だが、若い世代の資格取得を支援したい。これからの業界を支える技術者の育成に努めたい。これからも誇りを持って仕事に取り組んでいく」
自動車部品メーカー東海理化音羽工場を中心に、半世紀近いキャリアを誇る。
大量生産に不可欠な樹脂を固める金型の開発部門で、狙い通りのデザインを施せる「3Dドライ転写」の開発に貢献。代表的な製品に、トヨタ「クラウン」などの内装に高級感を生み出す木目調パネルがあり「空気が入らないよう真空状態でフィルムを密着させるのに苦労した。ディーラーで見かけると、ついあら探しをしていた」と振り返る。
技術と知識を買われ、定年後も再雇用で尾張勤務などを経て、今年から関連企業の東海理化SmartCraft音羽工場で後世の育成にも尽力。「今の若い子には厳しいかもしれないけど、会社の期待もある。新たな技術を生む人材が出てくれば」と見据える。
息子が幼いころは親子で野球に打ち込んだ。いまは毎週のように孫たちと遊ぶのに忙しい。
建築大工として50年以上、技能の研さんに努め、伝統的な木造建築から現代建築まで幅広く手掛けてきた。今は「自分の知識や技術をすべて伝えたい」と、職人育成に力を注ぐ。
浜松市出身で、中学生の時に実家を建てた「大工の技」に憧れ、修業の後23歳で起業した。伝統和風建築、古民家リノベーションを得意として活躍する一方、浜松技術専門校非常勤講師、技能五輪選手指導などで後進の育成に尽力してきた。浜松建築高等職業訓練校では、副校長・校長を計10年間務め、現在でも運営に携わっている。
後継者不足は大きな課題。「若者にはぜひ大工の技術を身に付け、建物ができていく楽しさと完成した喜びを感じてほしい」と呼びかける。
「田舎暮らしをしたい」と一昨年、新城市の古民家を購入。改修して夫妻で飲食店を営んでいる。