学園紛争どう映ったか追加編㊤経営学科/愛大が当時の卒業生対象に調査
2025/11/04

かつて経営学科の学生が講義を受けた6号館(愛知大学豊橋校舎で)
 半世紀以上前の学園紛争を経験した法経学部の経営学科、文学部、法経学部二部などの卒業生らはこの紛争をどうとらえたか―。豊橋市の愛知大学東亜同文書院大学記念センターは、当時の卒業生を対象にアンケート調査をし、愛大在学時の状況やその後の軌跡を追うシリーズ第4弾「大学紛争編」追加編として、その結果を報告書にまとめた。「経営学科」、「文学部、法経学部二部、大学院・専攻科」の順で紹介する。
 ■ 豊橋校舎
 愛知大学五十年史通史編などによると、愛大の学園紛争は学費の値上げを発端に1968年末、学生自治会を握る学生同士の「乱闘事件」に発展し、3年3カ月に及んだ。
 今回取り上げる経営学科は、1963年に経済学科から独立、誕生した。アンケートに答えた豊橋校舎の20~23人のうち紛争理由について「知らない」を含む無関心が10人と最多。5人が「学費の値上げ」と正しく答えた。
 その認識でも、「知らない」を加えて無関心が6人とこちらも最多。一方で5人が「貴重な時間を奪われた」と紛争を疑問・否定的にとらえた。紛争の影響で「ない」「あまりなかった」が10人と多かったが、3人は「求人先による選別、警戒」など影響があったと答えた。
 ■ 名古屋校舎
 名古屋校舎では答えた6~8人のうち、紛争理由に2人が「学費値上げ」を挙げ、1人が「わかりません」。その認識で「知らない」を含む無関心、「勉学条件の向上、学生生活の安全」など紛争に理解が、ともに3人いた。紛争の影響に5人が「ない」、1人が「企業離れがあったのでは」と指摘した。
 すでに紹介した「法学科」と「経済学科」では、答えた中には集会やデモに関わった人がいたものの、経営学科ではどちらもおらず、「温度差」があった。
 調査した愛大名誉教授で愛大東亜同文書院大学記念センターの藤田佳久・元センター長は「経営学科は当時、中小企業の子弟が多く、学園紛争に対する考えや、卒業後を見据えて影響すると思い、参加には消極的であったのでは」と分析する。
 ■ 回答70代後半
 調査は66年度から4年間に卒業した経営学科豊橋校舎の671人、名古屋校舎の446人が対象。紛争項目は記述式で、答えた人の半分ぐらいは学園紛争の経験がないという。他に大学生活の満足度などを質問している。しかし、対象者の多くは70代後半と高齢のため、回答はそれぞれ29人、14人と少なかった。
 東日新聞ではこれまでに「旧制編」(法経学部)と「新制編」(同、文学部)、「夜間短大法経科編」「法経学部二部編」「女子短期大学部」、「1960年代前半編」(法経学部法学科、経済学科、文学部、大学院・専攻科)、「大学紛争編」(法学科、経済学科)を紙面で紹介している。