東三河唯一の認定不妊ピア・カウンセラー/若山美沙さん/流産などの経験踏まえ「安心して胸の内話せる場に」/充実度低い自治体のソフト面サポート
2025/11/13

不妊治療などの経験を踏まえ、妊活の当事者の心に寄り添う若山さん(豊川市内で)
豊川市在住の若山美沙さん(40)は東三河で唯一、孤立になりがちな妊活中の女性や夫婦の心に寄り添う「認定不妊ピア・カウンセラー」として活動する。5度の流産や不妊治療など8年に及ぶ妊活の経験を踏まえ、4月に資格を取得。自治体支援では充実度の低いソフト面のサポートに尽力する。
不妊当事者の支援を目指して心理的知識と技術を学ぶ資格は、NPO法人Fineが認定する。県内でも数人で、現在東三河でただ1人活動する貴重な人材だ。
若山さんは25歳で結婚。33歳で第1子、39歳で第2子を授かるまでに9回の体外受精やPGT―A(受精卵の着床前診断)といった不妊治療を経験した。第2子を産むまでには5度も流産し、気持ちが落ち込む時期もあった。
市外の医療機関への通院や高額な治療費、仕事との両立などで心身ともに疲れていたころ、妊活専門のカウンセラーに心の内を話す機会があった。「陽性反応に喜んだ後に待っていた悲しみ、不妊の原因が分からず何に当たったらいいのか分からないはがゆさ。それらを当たり前の感情だと受け止めてもらえるだけで救われた。心がすごく軽くなった」。
近年、不妊治療は保険適用拡大に伴い利用者が増加し、自治体による治療費の助成もあるが、若山さんは「体を整えるだけでなく、心もケアして整えることで次の一歩が少し軽く感じられるようになるはず」と自ら不妊に悩む人を支えようと決意。1年間の養成講座を受け、実践研修などを経て資格を取得した。
現在は、個人事業主としてオンライン相談をはじめ、Fine名古屋支部や豊橋市の市民団体「妊活さんのココロをほぐす会」に所属しながら対面での座談会などに取り組んでいる。「妊活の悩みは家族や友人に話しづらい。気を遣わせたくない、弱音を吐けないなど、当事者にしか分からない孤独がある。同じ経験者同士で話せる場は大きな支えになる。妊娠は当たり前ではなく、夫婦の幸せの形も人それぞれ。安心して胸の内を話せる場を提供していきたい」と話す。