【回顧2025(文化芸術)】中村正義生誕100年/鈴木英人さんのデビュー45周年
2025/12/23

中村正義の世界展
豊橋の美術と文化の拠点とも言える豊橋市美術博物館で今年、ともに豊橋にゆかりのある2作家の記念展が開催され、遠方からも観覧者が足を運んだ。
■豊橋ゆかりの中村正義を深掘り。「中村正義―その熱と渦―」
2月に開催された「中村正義―その熱と渦―」では、豊橋出身の日本画家・中村正義の生誕100年を記念した特別な展覧会で、多くのファンを集めた。東京の「中村正義の美術館」の協力も得て、初期の作品から晩年の作品まで180点を一挙に展示。代表作を5つの視点で解説した。
正義は中村岳陵の画塾で学び、日展の特選作家になった時代から、独自の画風を確立し画家としての個性を確立していく時代、日展を脱退し従来の日本画とは正反対の色彩と表現で日本画壇に挑戦した時代、仲間とともに生と死を見つめた晩年まで、各時代を代表作で振り返った。
長年のファンはもちろん、初めて正義の作品に触れる若い世代にも新鮮な驚きを与えた。
■青春プレイバック。「風と光のアート 鈴木英人の世界展」
下半期には、80年代ポップスのレコードジャケットなどを手がけたことで知られる鈴木英人さんのデビュー45周年を記念する「風と光のアート 鈴木英人の世界展」が11月1日から開催された。豊橋を舞台にした特別な作品も展示され、これだけの規模の作品展はまたとないとあって、遠方からも多くの英人ファンが集まり盛況だった。
豊橋を描いた作品は、吉田城址と手筒花火を組み合わせた作品と、豊橋市のシンボルでもある市公会堂の前を走る市電という豊橋ならではのノスタルジックな風景を描いた2作。どちらも、どこか現代的なポップさが感じられ、新たな豊橋像として定着しそうだ。
1980年から現在までに制作された貴重なパントン版画やリトグラフ、シルクスクリーン、EMグラフなど約300点が一挙に展示され、そのスケールでファンを唸(うな)らせた。80年代・90年代に青春を過ごしたファンには懐かしく、若い世代には新鮮な展覧会で好評だった。