新社団法人で事業継続、サイエンスコアは豊橋市に無償譲渡/大学法人化で産学連携枠組み変化
2026/06/27

豊橋市に譲渡される「豊橋サイエンスコア」(同市西幸町)
産学連携を目的に豊橋市などが出資して1990年に設立された第三セクター「サイエンス・クリエイト」(豊橋市西幸町)は、6月末をもって解散し、新たに設立された一般社団法人「東三河新事業振興協会」に事業を引き継ぐ。当初想定していた豊橋技術科学大学との共同研究・事業が進展せず、株式会社としての継続を断念。新法人は大学との連携を継続し、東三河での産業育成や地域連携に取り組む方針だ。
26日、豊橋商工会議所で記者会見が開かれ、同社社長で新法人の会長に就く太田晴也氏と、副会長の松井孝悦・豊橋商議所副会頭、滝川浩史・豊橋技科大副学長、監事の稲田浩三・豊橋市副市長らが出席し、経緯を説明した。
同社は豊橋市のほか、100社以上の民間企業から15・5億円の出資を受け、1990年に設立。92年には25億円を投じ、事業の中核施設として「豊橋サイエンスコア」を建設した。
しかし、開業から年6000万円以上の赤字が続き、施設建設費の返済に充てるため、2007年までに8億円の補助金を豊橋市から受けた。
その後も、売上高の6割近くを豊橋市からの受託事業収入に依存し、同市の行政施策を実行する組織としての性格を強めてきた。
設立当初は豊橋技科大との共同研究・事業の収益化を目指していたが、国立大学の法人化などにより大学の産学連携の枠組みが大きく変化。同社のような中間組織が介在しなくても研究成果を事業化できるようになったことを解散理由に挙げた。今後、収益を確保できる見通しがなく、出資企業の政策保有株廃止の動きも解散に至った理由とした。
新法人は同社の事業を継続し、大学の研究成果を生かした産業振興や新事業創出などに取り組む。太田氏は「30年前とは大学の仕組みが違う。今の時代に合った産学連携で、足元の地元企業と大学との連携を進める」と述べ、東三河での活動に力点を置く考えを示した。
具体的には、豊橋技科大が進める半導体や先端アグリテック分野でのプロジェクトを挙げ、「地元企業に半導体やセンサーのことを知ってもらい、事業とのマッチングにつなげるきっかけにしたい」と語った。
また、サイエンスコアなどの固定資産は豊橋市に譲渡され、新法人が施設管理を受託する。これまで豊橋市は同社へ25億円以上を支出しており、この点について稲田副市長は「研修委託や研究助成など目的のある支出もあるが、施設に対する支出は『特殊』」とした上で、「施設は無償で市に譲渡される。25億円は産学共同拠点をつくりたいという30年間の思いに要した費用」との見解を述べた。