「渥美線電車機銃掃射」で田原市の「前日の会」/田原中で初の紙芝居上演会
2026/07/07

前日の会が上演した紙芝居『前日物語』
戦争で電車が狙われ、乗客らが多数死傷した出来事をどう思うかー。太平洋戦争の終戦前日、現在の田原市で起きた「渥美線電車機銃掃射」を紹介した紙芝居『前日物語』の上演会が、市内の田原中学校であった。生徒は平和の尊さをかみしめ、二度と戦争を繰り返さないと誓った。中学校での初めての上演にも関わらずその関心は高く、出前授業として上演会を開いた市民グループ「前日の会」をびっくりさせた。
■同世代が撃たれ
前日物語は出前授業の人気メニューの一つ。1945年8月14日、三河田原駅を出発した渥美線の電車は、当時の神戸駅を過ぎた時、米軍機に機銃掃射を受けた。電車が止まり、車内は撃たれた人で「血の海」に。かつての渥美病院に運ばれた負傷者の救護にあたった看護師の一人に焦点を当てた。乗客約40人のうち乗員を含め15人が死亡した。このうち6人が成章中(現成章高校)1、2年生。16人が負傷した。
「何でカラスは戦争をやらないのに、人間は戦争をやるの?」―。1日、田原中での上演会は、ナレーターのカラスの「カーばあさん」と孫の「クロちゃん」の掛け合いで始まり、「戦争に勝っても負けても泣くのはあんたら。人間の命が大事」と締めくくった。
紙芝居の作者で、91歳で死亡した彦坂昭市さんの機銃掃射の目撃談のほか、乗客の一人で隣に座った同級生が亡くなり、奇跡的に助かった彦坂登さんが車内の状況を語ったビデオが紹介された。登さんも91歳で死去。ビデオの中で「日本人もアメリカ人も同じ人間。戦争はしちゃいかん」とメッセージを送っている。
参加者は3年生6クラスの約230人。男子生徒の一人は終戦前日の惨事に驚き、「僕とほぼ同じ年代の人が撃たれて死んだ。悲しい」と衝撃を受けていた。
女子生徒の一人は機銃掃射の出来事があったと初めて知り、「今の普通の生活のありがたさと幸せを感じた」と話した。
政治の混乱で戦争になる恐れを指摘し、「起こらないように呼びかけ、平和を守っていきたい」という生徒もいた。
■平和のバトン
上演会に先立ち6月9日、3年E組が社会科の「戦時下の人々」に併せて会の出前授業を受け入れ、機銃掃射について学んだ。これを機に「紙芝居を見たい」との声が上がり、3年生全体で紙芝居を鑑賞することになった。担任の村井亮哉教諭は「生徒は紙芝居を見て戦争のむなしさや悲惨さを感じていた。今後も平和の大切さを知る授業を作っていきたい」と語った。
会は2015年から、地元の小学校を中心に紙芝居や戦争の歴史、戦時中の生活などを織り交ぜて出前授業を開いている。中学校の参加は初めて。彦坂久伸代表は「生徒がしっかりした考えを持っているのに驚いた。ぜひ『平和』のバトンを次の世代につないでほしい」と話した。