有害な鉛使わない材料へ一歩/技科大チーム
2026/07/23
豊橋技術科学大学の吉村武教授と大阪公立大学などとの国際研究チームは、環境負荷が低い次世代の「非鉛圧電材料」として注目される鉄酸ビスマス系薄膜について、電気的な劣化や動作寿命を決定づける欠陥メカニズムを解明したと発表した。
スマートフォンや自動車のセンサーなどに用いられる圧電デバイスには、現在、有害な鉛を含む材料が広く使われており、鉛を含まない代替材料の開発が急務となっている。
研究チームは、高い性能を持つマンガン添加鉄酸ビスマス単結晶薄膜に着目。米ペンシルベニア州立大学が持つ評価手法を活用して分析したところ、薄膜の内部で「酸素空孔」と呼ばれる欠陥が厚さ方向に偏って分布していることを突き止めた。
電圧を加えることでこの欠陥が移動し、電極付近に集まることで電気抵抗が低下して劣化が進む仕組みを解明。欠陥の動きやすさが従来の鉛系材料より約1桁大きく、これが寿命の短さにつながっていることも分かった。
今回の成果は、欠陥の挙動が薄膜の信頼性を支配することを示すもので、材料設計の新たな指針となる。当面はセンサーや振動発電素子など弱電場での応用が期待され、チームは今後、欠陥制御による品質向上や次世代デバイスへの展開を目指す。