みたびサギソウ投げ入れ発覚 保護の会除去作業/かつて歪んだ〝美談〟も 問題根深く/希少種盗掘も後絶たず―いたちごっこ続く/豊橋
2026/10/01

不自然に集中して咲くサギソウ(豊橋市提供)
豊橋市岩崎町にある国の天然記念物「葦毛(いもう)湿原」の貴重な植物群に対する破壊行為が止まらない。みたびサギソウの球根が湿原に持ち込まれていたことが判明した。希少種の盗掘も後を絶たず、抜本的な解決策が見当たらない中でいたちごっこが続く。
市文化財センターによると、今年8月、湿原の狭い範囲にサギソウが集中して咲いているのが見つかった。「自然界ではありえない生え方」だったため、球根が投げ込まれたと判断された。同月、文化庁の指導に基づきボランティア団体「豊橋湿原保護の会」が213株を除去した。
国指定天然記念物の指定地の外から植物を持ち込む行為は文化財保護法違反にあたる。投げ込まれた個体との交雑が進むことで遺伝子汚染が起き、もともと湿原にあった固有のサギソウは絶滅したとみなされる恐れもあるという。
サギソウの球根の湿原への不法投入が初めて確認されたのは2020年4月。このときは1232個の球根が除去された。25年8月にも同様の被害が発覚し、1221個が取り除かれた。
湿原の植物は何度も盗掘にも遭っている。22年8月にコオニユリが持ち去られ、今年4月にはハルリンドウが盗まれた。
発覚するたびに同センターは、警察に相談したり、被害届を提出したりしてきたほか、警告文を記した看板を設置してきた。ただ、いまだに被害はなくなっていない。
24時間いつでも出入りできる湿原で、投げ入れの現場を押さえるのは難しいと市文化財センターの贄(にえ)元洋学芸員は指摘する。DNAへの認識が希薄だった50年ほど前には、よそからでも球根を持ち込んで湿原にまき、花を増やすことが「美談」として語られていた事実があり、問題の根は深い可能性がある。「根気よく啓発していくしかない」と贄さんは話す。
植物の持ち去り行為に対しては「とるのは写真だけ、持ち帰るのは思い出だけにしてほしい」と呼びかけている。