豊橋技科大/実験で人の知覚解明/同じ速度でも後方は速く感じる/配送ロボ追い越し制御に活用
2026/10/01

実験イメージ
ロボットなどの物体が後ろから近づく際、同じ速度であっても正面から近づく場合より速く感じられるとの研究結果を、豊橋技術科学大学の研究チームがまとめ、米専門誌に発表した。人の知覚特性に配慮した動作設計に役立ちそうだ。
研究チームの田村秀希准教授らは、実物のロボットや仮想現実(VR)を用いた計5つの実験を実施した。参加者が移動するロボットの速度を評価したところ、92%で後方からの接近をより速く感じる「知覚の偏り」が確認された。
この現象はロボットの見た目やモーター音ではなく、後ろを振り返って見る際の視覚的な要因に由来することが示唆された。
さらに、この知覚の偏りをロボットの移動経路を決めるモデルに組み込み、歩行者を後ろから追い越す場面をシミュレーションした。その結果、従来モデルより早い段階から、人との距離を大きく保って回避する軌道が生成された。知覚の偏りが最も大きかった参加者の値では、従来より最大0・4メートル外側を通り、回避開始も0・57秒早くなった。
配送ロボットなど人が暮らす環境での自律移動体の導入が進む中、衝突を避ける安全面だけでなく、人がどう感じるかを踏まえた安心感のある動作設計が求められている。第一著者の山内達登さんは「物理的な速度だけでなく、人がどう知覚するかを考慮して設計することが、安心感のある人とロボットの共存につながる」と話している。