酷暑・日照不足克服する次世代植物工場

豊橋技科大など研究グループ 学内実証施設公開/太陽光と人工光制御/毎年豊作・収量2倍目標

2026/10/15

窓が少なく気密性を高めた実証ハウスの外観(豊橋技科大内)

 豊橋技術科学大学などの研究グループは、日照不足と夏の酷暑を克服する次世代型温室システム「SPAハイブリッド植物工場」を開発し、実証実験を行っている大学内の施設を公開した。植物の成長状態をリアルタイムで計測し、太陽光と人工光(LED)、遮光を最適に制御して、年間を通した高い生産性と収益性の確保を目指す。

 開発は、豊橋技科大の高山弘太郎教授らの研究グループが中心となり、シンフォニアテクノロジーや、技科大と愛媛大から大学発ベンチャーに認定されたPLANT CASEが携わった。愛知県の補助事業「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」の一環として取り組んでいる。

 施設園芸では、冬や曇雨天時の光不足による収量低下と、夏場の強い太陽光に伴う温室内の過剰な熱が課題とされてきた。こうした課題に対し新システムは、太陽光を利用する従来の温室と人工光を用いる植物工場の長所を組み合わせた。

 温室内の気密性を高めた「セミクローズド構造」を採用し、二酸化炭素(CO2)濃度や温度を高度に制御する。さらに、植物の生体情報をセンサーで捉える技術「スピーキング・プラント・アプローチ(SPA)」を活用。植物が光合成で吸収するCO2量や気孔の開閉状態をリアルタイムで計測し、光合成速度を推計する。

 光合成が低下する日照不足時には、LEDによる補光で成長を維持する。その際、電気代と補光による増収効果とを比較し、光合成が促進され利益が出ると判断した時のみ点灯させる「利益確定型制御」を実施する。一方、夏の酷暑時には遮光カーテンで太陽光と熱を遮り、不足する光のみをLEDで補充して高温障害を防ぐ。

 研究チームは現在、大学内の実証ハウスでトマトの生産試験を進めている。高山教授は13日に開かれた記者会見に出席し、生産性向上の目標について「豊作と言う状態を毎年継続すること。生産性を上げるより、下げる要素を技術によって回避する」と説明。シンフォニアテクノロジーの爪光男氏は「密閉してCO2を与えると50%増収するというデータがある。さらに周年栽培と光合成促進効果によって、通常の2倍の収量を目指していく」と語った。

 将来的に利益を最大化させるCO2の施用技術も組み合わせ、太陽光や冷房、補光の自動制御により施設園芸の生産性向上につなげる考えだ。

ビニールケース内のCO2を計測し、環境を制御する(同)

2026/10/15 のニュース

窓が少なく気密性を高めた実証ハウスの外観(豊橋技科大内)

ビニールケース内のCO2を計測し、環境を制御する(同)

有料会員募集

今日の誌面

有料会員募集

リクルーティング

高校生のための東三河企業情報サイト

連載コーナー

ピックアップ

Copyright © TONICHI NEWS. All rights reserved.

PAGE TOP