技科大ロボコン「連覇へ」《Ⅴ》

運営スタッフ/部員半数で開発陣支える/部品加工やフィールド作りなど尽力

2024/03/12

体育館で製作中の練習フィールド

 6月に開かれるNHK学生ロボコンに向け、春休みに入った豊橋技術科学大学ロボコン同好会ではロボット製作のピッチが上がっている。3連覇を目指す同好会では、ロボット開発でスポットを浴びる学生だけでなく、彼らを陰で支える運営スタッフの存在も見逃せない。運営や広報、渉外、フィールド作り、部品加工などで部員の約半数が力を合わせる。全国から集まる「仕事人」を強力にバックアップできるのも、技科大ロボコン同好会の強みになっている。

 ◆フィールド製作

 期末試験が終わり大会に向け追い込みにかかる春休み、機械班、制御班、回路班は3世代目のロボット製作を進めている。同時に作業を急いでいるのが、体育館でのフィールド作りだ。本番会場に近い環境で動作確認を入念に行い、ロボットの完成度を上げていくことが優勝のカギになる。

 フィールド製作もロボットと同じく手作り。CAD(コンピューター支援設計システム)を使用して部材を設計し、合板コンパネや支柱となるアルミ材を購入して、部材の切り出しや穴あけを行い組み立てる。設計や部材調達を担当するのは、ロボット製作には加わっていない、部長の宮下功誠(3年)さんと館野玄汰さん(同)。「フィールド製作にも同好会で代々受け継がれてきたノウハウがある」。車輪のグリップに影響の出る塗装の質感にも気を遣うという。

 毎年ルールの変わるロボコンではフィールドも毎年新たに作る。特に今年のルールでは、フィールドは「線対称」。左右反転する赤と青のフィールドをそれぞれ作らなければならない。「同じ部材を左右入れ替えられるよう工夫した。1週間ごとに左右を入れ替えて組み立て直す」と宮下さん。地元の木材会社やスポンサーの協力で、3月初めにようやく完成。100万円近い材料費がかかった。「ここまで用意できる学校は少ないと思う。優勝を目指すためのスタートラインは高いです」と話すのは館野さん。

 ◆経験者でも

 木更津工業高等専門学校出身の館野さんは、高専ロボコンの経験はあるものの「CADが少し使える程度」。日本中の高専でロボコンの腕を磨いた「仕事のできる人」が集まる技科大では、設計ではなく部品加工を担当する。機械班が設計した部品加工の指示書に従い、CNCフライス盤を使ってアルミ材から部品を切り出し、バリ取りや穴あけの作業を繰り返す。

 「どこで使う部品かも分からないけど、自分がひたすら部品加工に徹することで機械班は設計に集中できる」と、世界一に向け地道な作業に汗をかく。

 ◆未経験者も

 同好会の中にはロボコン経験のない部員も少なくない。豊田高専出身の谷畑天斗さん(3年)は高専ロボコンの経験はなかったが、友人の誘いで入部した。「同好会にはロボットを作る以外の仕事もたくさんあって、経験者でなくても入れる」と話す。

 谷畑さんはシステム担当として、個人スポンサーを募るサイトの製作と運営を任され、部品加工や組み立ても手伝う。「同好会にはすごい人がいっぱいいて、世界一への挑戦に関わることができるのが楽しい」と、同好会の活動にやりがいを感じている。

 他にも、部材注文する企業やスポンサーと交渉する渉外、ビデオ審査用動画の制作、数百万円の活動費を管理する会計など、非製作部門に10人を超える部員が関わる。他大学では不足しがちな裏方を担う学生が多く在籍していることで、開発陣は世界一に向けたロボット作りに専念できる。「彼らがいなかったらロボットは作れない」と宮下部長は陰の働きをたたえる。

ビデオ審査用動画を確認する宮下さん㊧ら

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ビデオ審査用動画を確認する宮下さん㊧ら

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