東三河3団体が初会合/活動する団体の高齢化/若い世代の台頭
2025/04/22
前日の会が紙芝居を上演(豊橋市内で)
「豊橋空襲」(豊橋市)と「豊川海軍工廠(こうしょう)空襲」(豊川市)、「渥美線電車機銃掃射」(現田原市)の体験と記録を語り継ぐ東三河3団体が集まり20日、豊橋市松葉町の市民センターで初会合を開いた。空襲を知る世代が亡くなり、活動団体の会員の高齢化が課題に挙がった一方で、語り継ぐ若い世代の台頭も。市内の豊橋空襲を語りつぐ会は「これからも3団体が共同で何か開催できれば」と提案した。
■追悼式で紙芝居
「カラスは戦争をやらないのに人間はなぜ、戦争にやるの」―。渥美線電車機銃掃射の空襲体験を語り継ぐ田原市の「前日の会」は、活動メインの紙芝居でわかりやすく悲惨な出来事を紹介した。この後、彦坂久伸代表が目撃者らの映像を見せて出前授業の活動などを報告。一方で戦前世代が激減して会員の高齢化も進み、出前授業の依頼が減っている現状を挙げた。その中で、会が市議会で取り上げられ今月中旬の市戦没者追悼式で紙芝居を上演し、機銃掃射の説明板設置の動きがあり、うれしい話も披露した。
■タイミング
「タイミングが良かった」―豊川市の豊川海軍工廠跡地保存をすすめる会は、活動を紹介し、こう力説した。会の設立時に原爆ドームが世界遺産に指定され、前市長が2期目の公約に跡地を保存すると掲げ、豊川海軍工廠平和公園の整備に向け関心が集まっていた時だった。2018年の開園で、伊藤泰正会長は「道半ばだが、目標の半分は達成した」と自信をのぞかせ、公園西側の跡地の保存にも力を入れる。
また、市は海軍工廠の記録を語り継ぐ3回目のボランティア養成講座を募集中だが、この日現在で応募した11~12人のうち、半数が10代~20代と若い世代。「その世代が核になっていくのでは」と期待する。
■感性の大切さ
豊橋空襲を語りつぐ会の安間慎顧問は「空襲体験を受け継ぎ、次世代に継承し、戦争の非人道性を感性で受け止めることが大切」と結んだ。
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キーワード「東三河の空襲を語り継ぐ3団体」
■田原市の前日の会
終戦前日の8月14日、渥美線電車が米軍機に機銃掃射を受け、乗客ら31人が死傷した記録と継承に取り組む。目撃者や被害者から聞き取って作った紙芝居をメインに小学校を中心に出前授業や慰霊祭を開いている。2015年の発足。
■豊川市の豊川海軍工廠跡地保存をすすめる会
終戦前の8月7日の米軍機の爆撃で2500人以上の命を落とした海軍工廠の跡地保存運動に取り組む。市が整備した跡地の一部に平和交流館を建設し、18年の豊川海軍工廠平和公園の開園に貢献した。1996年の設立。
■豊橋市の豊橋空襲を語りつぐ会
終戦前の6月19~20日の豊橋空襲で亡くなった624人の犠牲者を追悼し平和を誓うつどいを開き、空襲体験者の手記を体験記にまとめたほか、学校に出向き、体験者の出前講座を開いている。1989年に立ち上がった。