新城市稲木地区の歴史を学ぶ/地元の慰霊碑や遺族の話を通して戦争を考える
2025/08/19
宮川区長㊧が持つ祖父出生時の写真を紹介する春田さん(新城市の稲木公民館で)
新城市稲木地区の歴史を学ぶ初めてのミニ講座(同区会主催)が17日、稲木公民館で開かれた。テーマは「稲木から戦地に赴(おもむ)いた人々」。参加した35人が地元の慰霊碑や遺族の話を通して戦争を考えた。
講座では、元教員の宮川昌基区長(70)が授業形式で進めた。地区に残された慰霊碑を紹介。市遺族会編「英霊顕彰録」に記録された同区戦没者25人の基本データをもとに、亡くなった年齢や戦死した場所などを説明した。
中学生を含む参加者がそれらを確認し、多くの人が終戦前の1年以内に大陸や海洋などさまざまな場所で亡くなっていることがわかったという。
NHKの戦争体験者証言映像を視聴した後、地区戦没者の孫にあたる遺族3人が戦没者や戦争について語った。
3人は春田敦紀さん(66)と渡邉省仁さん(68)、 鈴木誠さん(75)。このうち春田さんの祖父はニューギニアで戦死した。春田さんは、父(当時5歳)と家族が出征する祖父と一緒に撮った写真を見せながら、父から聞いた祖父や祖母の話を紹介した。戦後の祖母の大変さを思いながら、「戦争のない平和な日本を守ってほしい」と訴えた。
最後に宮川区長は「自分たちで戦争を選んだという責任を感じ、『絶対に戦争をしない』との強い覚悟を持ちたい」としめくくった。ミニ講座について「他の地区の方にもお越しいただきうれしかった。より多くの方に喜んでいただけるよう工夫しながら、これからも講座を開いていきたい」と話した。