AI搭載 悪路環境でも自律走行/
2025/08/22
オフロード自律走行AIロボットのアダム(提供)
人工知能(AI)を搭載し、悪路環境でも自律走行する農業支援用の車型ロボットの販売が今月から、豊橋市内で始まった。市によると、中部エリア以西では初めて。シェアリングサービスも実施される。地域の農業従事者の負担軽減につながるとみられる。
電動のオフロード自律走行AIロボ「Adam(アダム)」は、長さ約2メートル、幅約1・3メートル、高さ約1メートル。車体の前後にあるカメラで農作業する人を認識し、ついていく。作業者は、収穫した農作物を荷台に最大で300キロ載せることができ、かごを担いで自力で収穫物を運んでいたときに比べ負担が軽減される。
専用の装置を取り付け、遠隔操作で草刈りをする機能もある。
スタートアップ(新興企業)の「輝翠」(きすい、仙台市)が開発した。同社は、農業にテクノロジーを組み合わせた「アグリテック」の技術力を競う豊橋市主催のコンテストで2023年度に入賞。24年5月から市内の柿農家の協力のもと、アダムの試作機を使って走行テストやAIデータ収集などの実証実験に取り組んだ。青森県のリンゴ農家や千葉県の和梨農家とも実験を行い、今年4月に商品化にこぎつけた。
豊橋での実験の過程では、リンゴ畑や梨畑よりも木の間隔が狭い柿畑の特徴を踏まえ、性能は同じままアダムを小ぶりにした最大積載量100キロの「ミニアダム」が開発された。
アダム、ミニアダムとも輝翠(050・7103・9981、または050・7103・5447)で販売する。市に登録した農家には、購入経費の2分の1が補助される。
アダムを貸し出すシェアリングサービスを「マルシメ」(豊橋市)が開始する。1日や1週間、1カ月単位での料金設定になる見通し。
市地域イノベーション推進室の小野健太郎室長補佐は、今回のAIロボにはまだ発展の余地があるとの見解を示し、改善点のフィードバックのためにも「たくさんの人に使ってほしい」と呼びかけている。