発生の可能性は未知数

南海トラフ地震で北大・平川一臣名誉教授講演/巨大連動地震は400年ごとに繰り返す/㊦いつ南海トラフ地震は起きるのか?

2021/05/04

 ■千年に1回?
 ここ数年、渥美半島の伊良湖岬や伊勢志摩沿岸、徳島県の蒲生田岬で、超巨大地震の南海トラフ地震と津波の関係を津波堆積物から研究を進めています。

 この中で伊良湖岬近くの日出(ひい)の石門付近で地層の年代測定をし、約6000年間で津波痕跡を6回確認しました。依然不明なところが多いですが、地表から近い順で超巨大地震とみられる1707年の宝永、684年の白鳳と推定しました。残りの4回は検討課題です。

 石門付近から約2キロ離れた伊良湖岬灯台付近に推定150トンの同じ地質の岩石があり、大きな地震に伴う津波で運ばれたと思われます。

 三重県鳥羽市の国崎町の神社の斜面でも地層調査を行い、津波痕跡を7回確認しました。このうち地表の近いところから宝永、1498年の明応、白鳳と考えられます。

 また、蒲生田岬の斜面の地層を調べ、約6500年間に6回の津波痕跡を見つけました。

 こうした調査から年代や回数にばらつきはあるものの、現在と同じ海面となった過去約7000年のうち、南海トラフ領域で起きた超巨大地震は6、7回あり、1000年に1回の計算で発生するのではないかという見方は重要だと思います。中には弥生時代以前にも2つ、3つはあったと指摘する研究者もいます。

 なぜ、白鳳、宝永が超巨大といわれるのでしょうか。地下の岩盤の破壊が大規模に起き、地震の範囲が広いからだと言われています。

 ■誘発・連動
 白鳳と宝永の間で1096年の永長の東海と3年後の康和の南海、1361年の正平で主に東南海と南海が起きています。どれも破壊は「超巨大」まではいかないものの大きく、数年前後に誘発・連動するのが特徴で、巨大連動地震と呼ばれています。300年から400年ごとに繰り返され、直近では1854年の安政の東海と32時間後に起きた南海があります。

 また、白鳳以後、100年から150年ごとに巨大地震が発生しています。終戦前の1944年の昭和の東南海、46年の南海はこの部類に入ります。

 政府の地震調査研究推進本部は、南海トラフの領域でM(マグニチュード)8から9クラスが30年以内に70、80%の確率で起きる可能性があるとしています。

 巨大連動地震は安政の南海から数えると、2100年から200年ぐらいに起きる可能性があります。巨大地震も2050年から100年ぐらいにやってくるかも知れません。

 超巨大は東海、東南海、南海の3連動と考えられるが、1000年に一度発生するかどうか裏付けるデータは乏しく、まだまだはっきりした答えは出せません。

 専門家は地震予知ができなくても、みなさんは地震への意識を高めることはできると思います。危険から身を守るにはどうしたら良いか、ふだんから考えておきましょう。備えあれば憂いなしということが重要です。

2021/05/04 のニュース

津波痕跡を6回確認した地層(田原市の日出の石門付近で、提供)

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