「蒲郡ベンチアートプロジェクト」/通し番号0「見果てぬ夢」豊田章男会長ら除幕式
2024/03/05
完成したベンチアートに座るトヨタの豊田会長㊨と蒲郡RCの小池会長
トヨタ自動車創業者の豊田喜一郎氏と蒲郡市をつなぐ逸話にちなんだベンチが、市内海陽町の大塚海浜緑地(ラグーナビーチ)に設置され、3日、除幕式があった。喜一郎氏の孫でトヨタ会長の章男氏が出席し、「祖父に見守られているようだ。ここに夢を持つ人が集い、未来を作る活力になれば」と期待を寄せた。
市内の海辺にベンチを置いていく「蒲郡ベンチアートプロジェクト」の一環で、2021年に始まってから6台目になるが、プロジェクトの原点となる作品のため、通し番号は「0」。「見果てぬ夢」と名付けられた。
喜一郎氏はエンジン開発に取り組んでいた1930年代、仕事に悩むと蒲郡市を訪れ、海岸で釣り糸を垂らした。考え事をするのが目的だったため「魚の釣れぬところへ連れて行け」と言ったという。その後、試作乗用車第1号のA1型を完成させた。
この話を知った蒲郡商工会議所前会頭で蒲郡ロータリークラブ(RC)会長の小池高弘氏がベンチアートプロジェクトを発案した。
今回、完成したベンチは、喜一郎氏のトレードマークだった丸眼鏡が大地に突き刺さり、そのかけらが残った―という斬新なデザイン。土台は鉄製で、座面はヒノキ材。1人掛けの想定だが、2人並んで座ることもできる。蒲郡RCが創立70周年を記念して市に寄贈。市内の近藤製作所や三河湾ネットワークが協力した。
デザインを手がけた設計組織アモルフ(京都市)の竹山聖代表は「世界の未来を見ていた喜一郎氏。座れば夢のかけらが見えるかも」と意図を説明した。