的確な対応と親切心で財産守る

特殊詐欺の被害未然に防ぐ/豊橋署が金融機関2支店と市民1人に感謝状

2025/03/06

感謝状を受けた2支店職員と市民(豊橋署で)

 特殊詐欺の被害を未然に防いだとして、豊橋署は3日、豊橋市内の金融機関2支店と職員2人、市民1人に感謝状を贈った。竹村賢二署長が「ささいな異変に気付いて市民を守っていただいた」とたたえた。

◆迷わず声かけ

 花田町の会社員、畑慎介さん(27)は今年1月16日、立ち寄ったコンビニエンスストアでATMを操作していた60代女性に声をかけ、警察に通報して被害を防いだ。

 女性は、市職員などを名乗る者からの電話で「還付金がある」と言われ、指示に沿って店へ来ていた。畑さんは通話しながら操作する姿を不審に感じて「大丈夫ですか」と声をかけ、電話を代わって犯人側と通話。勤務中だったが、初対面の女性に配慮しながら通話相手には毅然(きぜん)とした態度を貫いた。

 通報先の警察官からは「ファインプレーです」と称賛されたという。店内で女性の声は断片的に聞き取れる程度だったが、迷うことなく行動に移した。「声をかけずに後悔するより、間違えても良いぐらいの気持ちだった。人の役に立てた」と振り返った。

◆ささいな異変を察知

 豊川信用金庫豊橋支店(新吉町)と職員の金田唯さんは、1月23日に現金220万円を指定口座に振り込もうとする30代男性に対応。詳細に使途を聞き出し、警察に通報した。

 男性は、数日前に遺産相続の手続きで来店。23日は「相続の一部を親族に送金する」と窓口に伝えていた。担当した金田さんは、送金先が「親族」から「友人」へと変遷したことや、男性が要求された携帯画面の請求書日時などを不審に感じて上司へ相談。男性は、投資名目で現金を振り込むよう指示されていた。
被害者は高齢ではなく、信ぴょう性の高い内容だったが、微かな異変を察知した。金田さんは「今後もお客さまが被害に遭わないようにしていきたい」と話した。尾崎哲也支店長は「常日ごろから支店全体で注意を払っている」と話した。

◆柔軟な対応

 JA豊橋吉田方支店(菰口町)と職員の氏原咲奈さんは2月4日、現金150万円を引き出そうとする70代女性に対応。早々に詐欺と見抜いて通報した。

 女性は、次男を名乗る男から「女の人とトラブルになった」と示談金名目の要求を受けていた。用途を聞くよう定めたマニュアルより低い金額だったが、氏原さんが丁重に事情をうかがって説得した。

 通帳名義が他支店である点にも疑問を抱いて上司に報告。女性は以前にも、別の息子を名乗る者に現金を求められており、支店で話す内に徐々に冷静さを取り戻していったという。

 氏原さんは「正直に話してもらって詐欺と分かった。日ごろの声がけが実を結んだ」と感想。同支店は2年前にも被害を防いでいる。伊藤昌徳支店長は「今後も防止に努めたい」と語った。

 竹村署長は「手口は巧妙化して高齢者から若者まで被害に遭っている。適切な対応や親切心で市民を守っていただいた」と感謝の意を示した。

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