能登半島との絆強める「渥美便」

田原の被災者支援ボラ団体活動1年超/おいしい野菜へ感謝の声/「少しでも長く」継続に意気込み

2025/04/02

被災者を食事支援する団体の代表と山本代表㊧(提供)

 田原市の被災者支援ボランティア団体「チーム渥美半島」は、地元の人たちから提供を受けた野菜などをワゴン車に積み、能登半島地震の被災地に「渥美便」を届けて1年が過ぎた。豪雨災害も重なった厳しい環境下で被災者からの「いつもありがとう」との感謝に、半島同士の絆を感じ「少しでも長く支援したい」と張り切っている。

 ■心やすらぐ
 「渥美半島から能登半島へ」―。山本達弥代表(52)は3月16日朝、被災者を食事支援する金沢市の喫茶店に1㌧ワゴン車を止め、無農薬で育てた野菜などを下ろすと、出迎えた支援団体は「安全な野菜なので心がやすらぐ」と感謝した。店内にいた被災者らしい人が近寄り、「いつも能登まで運んでもらい、ありがとう」と喜んだ。

 午後には輪島市の被災者支援拠点に運んだ。キャベツやダイコンなどを仕分けし、配達員が仮設住宅などを回り被災者約700人に届けた。「野菜が高騰している時だけに助かる」とここでも拠点を運営する代表から感謝され、被災者も「おいしくて元気が出る」と感激した。同じ市内の別の拠点に着いたのは午後5時を回っていた。

 これで渥美便は12回目。15日夕に会員一人とともに田原市福江町を出て17日に戻った。往復で実質約12時間かかった。道路の寸断や車などが放置され昨年1月の能登半島地震の爪痕が依然残り、約10カ月後の豪雨災害も引きずり、復興には時間がかかりそうだ。

 ■人ごとでない
 「同じ半島同士。人ごとではない」―。チーム渥美半島は、地震直後に発足した。会員は現在14人。このうち山本代表ら3人は東日本大震災で被災者支援に励み、阪神・淡路大震災で被災した人もいる。それだけに被災者を思いやる気持ちは強く、すぐに渥美便を出した。みんなは仕事を持っており、その後も調整して毎月1回程度運んでいる。

 渥美半島は、日本有数の農業生産地。野菜提供の呼びかけに農家を中心に回を重ねるごとに増えており、これまでに協力した個人、団体は延べ350以上に及んだ。渥美便を届け終えると、協力者にお礼と活動の様子を報告している。

 無農薬の野菜を提供した女性は、現地から送られた動画を見て利用されたことを知り、「傷があり形も悪く出したことが恥ずかしかったが、おいしく調理されうれしくなった」と感動した様子だった。

 チーム渥美半島は、他に現地の支援団体から輪島塗の茶わんや箸を頼まれて売った収益金、同様の団体に支援金を送るなど活動をバックアップする。また、会員が独自で仲間と炊き出ししたり、弁当づくりや稲刈りを手伝ったりしている。

 山本代表は「行くたびに被災者から感謝され、それが活動の力になる。復興に向け応援をしていきたい」と話した。

輪島市の被災者支援拠点に下した野菜と被災者を支援する人ら(同)

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被災者を食事支援する団体の代表と山本代表㊧(提供)

輪島市の被災者支援拠点に下した野菜と被災者を支援する人ら(同)

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