日本の戦後復興を表現 多彩なパビリオン並ぶ/連日2万人超の来場者
2025/05/04
豊橋博の入場券(豊橋市美術博物館で)
大阪万博は4月末までに累計170万人近い人々が訪れている。東三河でも71年前に「豊橋産業文化大博覧会」が開かれ、約1カ月半の会期で116万人以上が訪れた。会場跡地に建つ豊橋市美術博物館では「豊橋博」の名残に触れることができる。
豊橋博は終戦から9年後の1954年3月20日、吉田城址を中心とする現在の豊橋公園を会場に開幕した。会期は5月10日までの50日間だった。
日本の復興を表現した高さ20メートルの塔が立ち、蚕糸館や繊維館、製材木工機械館といった地元豊橋の産業や、トヨタ館や国鉄館、郵政館や中日館といった企業を紹介するパビリオンが立ち並んだ。たばこ館では豊橋博記念タバコ「光」が1箱30円で売られた。
再建された吉田城の隅やぐらでは江戸時代の鳥瞰(ちょうかん)図が展示され、日本橋や関所といった歴史をテーマとする展示もあった。豊川(とよがわ)沿いには展望台が設置され、動物園や児童科学館、遊園地など子どもが楽しめるエリアもあった。
来場者は連日2万人を超える盛況ぶりで、当時小学校の遠足で訪れた豊川市在住の佐溝力さん(78)は「とにかく人が多く、にぎやかだった覚えがある」と振り返る。
佐溝さんは所有していた入場券やポスターなどを市美術博物館に寄贈し、一部が展示されている。