独立性尊重「企業連合」へ

豊橋の「紅久」マテリサグループ参画/「第三の選択肢」業界に提示/三浦社長「第3の創業」位置づけ/谷口代表「新しい資源循環を創る」

2025/10/06

記者会見で握手をする三浦社長㊧と谷口社長

 創業250年の歴史を持つ老舗金属リサイクル企業、株式会社紅久(本社=豊橋市、三浦裕司社長)は3日、株式会社マテリサグループ(本社=東京都中央区、谷口善洋代表取締役)にグループ企業として参画したと発表した。紅久はマテリサグループに対し、過半数の株式を売却し、支配権はマテリサグループに移ったが、三浦社長は社長職を継続する。

 今回の参画は、1775年(安永4年)創業の紅久にとって「第3の創業」とも位置付けられる大きな決断。三浦社長は記者会見で、急速な技術発展やインフレなどの外部環境の変化に直面する中で、「単独の中小企業でこうした課題をクリアして行けるのか」という懸念があったと説明。その上で、さらなる成長発展のためには「ファミリービジネスの枠組みを超えた新たな変革が必要」との結論に達したと述べた。

 マテリサグループは、企業支援総合研究所(CSRI)の支援のもとで設立され、金属リサイクル業者を中心としたM&A(企業の合併・買収)によるグループ経営を行う。同グループは、参画企業の独立性やブランドを最大限尊重する「企業連合」という新たなモデルを掲げ、大手事業会社の垂直統合やファンドによる短期参画とは一線を画す「第三の選択肢」を業界に提示する。

 マテリサグループは、出資後も株式を保有し続け、短期での売却は目指さない姿勢。谷口代表は、「この業界の魅力的な企業の皆さまと共に、新しい資源循環のあり方を定義する企業連合の形を共に創り上げていきたい」と述べ、参画企業を上下関係のない「兄弟会社」として対等なパートナーシップで結ぶとした。

 参画の背景には、鉄鋼業の脱炭素化に伴う電炉鋼へのシフト加速がある。国内では2030年頃に年間500万トンもの鉄スクラップが不足すると予測されており、地域経済を支えるインフラ維持が課題となっている。マテリサグループは、紅久の現在の年間取扱量(約50万トン)の数倍から10倍の規模の鉄スクラップ取り扱い体制を数年かけて構築し、「鉄鋼業のサプライチェーンの強靱化(きょうじんか)」を目指す。

 三浦社長は、マテリサグループの企業連合構想に出会い「これこそ我々が描いていたあるべき姿だ」と共鳴したと明かし、「異なるバックグラウンドを持つ集団とのコラボレーションで資源リサイクル事業者の次世代の成長モデルを実現したい」と、新たな成長への道筋に期待を寄せた。

2025/10/06 のニュース

記者会見で握手をする三浦社長㊧と谷口社長

有料会員募集

今日の誌面

有料会員募集

きらり東三河サイト

高校生のための東三河企業情報サイト

連載コーナー

ピックアップ

Copyright © TONICHI NEWS. All rights reserved.

PAGE TOP