「あすなろ教室」へ感謝の寄付/新城
2025/12/24

大久保さん夫妻と下江市長㊨(新城市役所)
新城市中野の「あすなろ教室」は、不登校の子供らの居場所として市教育委員会が運営する。施設を巣立った男子の両親が22日、感謝を示そうと市役所に寄付金10万円を届けた。母の大久保ともみさん(43)は「不登校の経験が挫折ではなく、社会の温かさを知るステップになるよう役立ててもらえれば」と思いを語った。
市内に住む大久保さん夫妻には、高校生と中学生の息子がいる。小学生の頃、2人そろって学校に通えなくなり、ともみさんは頭を抱えた。当時の状況を「行き場のない怒り、悲しみ、先の見えない不安でいっぱいだった」と振り返る。
しかし、相談員の家庭訪問を受けて教室のことを知り、長男が通所するように。「遊びの時間もあり、だんだん楽しくなったみたい。特に中学生のお姉さんにかわいがってもらっていた」。
長男は今は高校に通い、大学受験を控える身だ。「教室のおかげで前を向けた。教室がなければ今の家族の笑顔はないかもしれない」。
一方、学校にも教室にも通えていない次男と一緒に過ごせるよう、父の竜也さん(45)は脱サラ。今年から農家に転身し、次男にも手伝ってもらって設楽町でトマトを栽培する。
竜也さんは「将来、体験農園として不登校の子たちを受け入れられたら」と思い描く。
あすなろ教室は教員経験者がスタッフを務め、新城市と北設楽郡の小中学生を受け入れる。現在は13人が通う。
寄付を受け取った下江洋行市長は謝意を示し、「子供の立場に立った環境づくりに今後とも取り組みたい」と応じた。