この人に聞く
第3回/梅岡孝全 一般社団法人東三河デジタル推進協会専務理事
2026/06/22

梅岡孝全さん
東三河地域の中小企業のデジタル化を推進しようと、昨年9月、一般社団法人東三河デジタル推進協会が設立された。専務理事に就任した梅岡孝全氏は前職を離れ、この一職に専念している。
DX化が叫ばれる一方、現場は深刻だ。「何から始めればよいか分からない、という声は本当に多い」と梅岡氏は指摘する。中小企業ではIT専任者を置けず兼務で対応するケースが珍しくなく、コスト面の壁も重なってデジタル化の入口で立ち往生する企業が後を絶たない。
こうした状況を打開するため、同協会は域内の信金・商工信組や商工会議所・商工会を窓口とし、協会が中心となって課題を整理する仕組みを構築した。地元IT企業や中小企業診断士・ITストラテジストら有資格専門家と連携し、複数社の提案を比較できる体制も整える。相談受付から同行訪問・ヒアリング、課題抽出、プランニング、マッチング・導入支援、フォローの6段階で寄り添い、費用負担はない。
梅岡氏が強調するのは相談の敷居の低さだ。「困っていることがあれば、何も答えがなくても相談をいただければ、課題を一緒に整理することができる」と語り、ITシステムの検討よりも一つ前の段階から受け止めるため、中小企業診断士らコンサルタント企業を体制に組み込んだ。現在8件の相談を受け付け、4社で具体的な支援が動き始めている。
こうした役割を担えるのは、IT業界での長年の実務経験があってこそだ。ハードウェアからソフトウェア、ネットワークまで技術の変遷を知り尽くし、顧客の課題を聞き取って最適な解決策に結びつけてきた。「何を聞かれても怖くない」―その一言が梅岡氏の経験の深さを物語る。
人材育成にも意欲的だ。「若い経営者を対象に、デジタルという道具を使って新しいことをやろうという関心を持ってもらいたい」と話し、生成AIをビジネスに活用するセミナーを企画中だ。自治体との連携による研修事業も視野に入れる。令和8年9月には豊橋技術科学大学学長・若原昭浩氏らを招いた講演会も予定する。賛助会員に商工会議所・商工会13団体、IT関連企業21社が名を連ね、活動は着実に広がっている。地元ならではの課題に同じ目線で寄り添い、企業の成長をサポートする―同協会の取り組みが東三河の産業をデジタルで底上げする原動力となることが期待される。
※次回は29日付掲載予定。