豊橋技科大研究チームが調査/状況で柔軟に探索行動切り替え/ロボットやAIの物体認識技術など応用期待
2026/07/04

ヘッドマウントディスプレイを装着し物体を観察する行動を計測した
人が物体の材質を見分ける際、頭を動かして視点を変えたり、手で操作したりする探索行動を状況に応じて柔軟に切り替えていることが、豊橋技術科学大学の研究チームの調査で分かった。仮想現実(VR)技術を用いた実験で解明した 。成果は米専門誌に掲載された。
豊橋技科大の田村秀希准教授らのチームは、ヘッドマウントディスプレイを装着した参加者が、VR空間内で金属からガラスまで連続的に変化する物体を観察し、材質を判断する実験を行った。
実験の結果、金属ともガラスとも判断しにくい曖昧な材質ほど、参加者は頭や手をより積極的に大きく動かして観察することが判明した。こうした能動的な探索行動は、材質をより正確に見分けることにつながっていた。
さらに、複数の物体を同時に比較できる状況では、手で物体を動かすよりも頭を動かして視点を変える行動が多く見られた。一方で、比較対象がなく一つの物体のみを観察する状況では、手で物体を動かす方が材質の識別に有効だった。
人間は対象を受動的に「見る」だけでなく、必要な視覚情報を得るために自ら「見に行く」という能動的な知覚過程によって材質を識別している可能性が示された。
チームは今後、布や石など多様な材質に研究対象を広げるほか、手触りなどの触覚情報との統合についても研究を進める。将来的にロボットや人工知能(AI)による物体認識技術、よりリアルなVR環境の構築などへの応用が期待されるという。