修復で新たな息吹 よみがえる初凧

「この先、15年、20年と飾れる」/新事業開拓 後継者育成にも期待/田原凧保存会

2021/04/18

 江戸時代から伝わる田原凧を受け継ぐ田原凧保存会(藤城正孝会長)が、子どもの誕生を祝って揚げる「初凧」の再生プロジェクトに乗り出した。数十年たつと、破れや色あせが目立つようになる凧を会員の手でよみがえらせる。保存会は新たな事業、後継者育成の機会としても期待する。

 初凧は江戸時代初期、男の子が生まれた年の翌年、端午の節句に親戚らから贈られた祝い凧を揚げ、子どもの健やかな成長などを願ったのが始まりとされる。今では、男女に関係なく贈られている。

 注文を受けて保存会の会員が作り、5月の凧まつりで祈願、大空高く揚げられる。まつり後は、家庭で飾られたり、保存されたりしている。

 「初凧が破れてきたけど、直せないか」。昨年、たまたま会員の一人が声を掛けられた。36歳の息子の凧などで40年近い年月を重ね、和紙が破れているほか、ほこりがたまり、描かれた武者絵などの色も落ちてきていた。

 依頼を受けた会員は、和紙を凧の裏面にのりで貼る裏打ち、色づけをして修復。「意外に難しくなく、依頼主も喜んでくれた。この先、15年、20年と飾れる」と喜び、「保存会の新たな事業にできる」と考えた。

 今春、初凧再生プロジェクトの参加メンバーを募り、始動。第1弾として、いずれも「特大」サイズ(A3和紙25枚分)で、30年ほど経過した3枚の初凧の再生に取り掛かった。

 裏打ち作業には専門家を迎え、田原市で掛け軸、絵画などの修理をしている「一二三堂」の小嶋文雄さん(60)から教わった。会員有志と関心のある小学生を含む市民ら約20人が参加。3班に分かれて、A3サイズで厚めの和紙を貼って補強、空気が残らないよう慎重に手を動かしていた。

 乾燥させた後日、描かれている武者絵などの色づけを、保存会のベテラン会員と絵師の後継者が実施。赤や青、緑などの色を塗っていったほか、鎧(よろい)や顔は古い色と新しい色で濃淡をつけ立体感を出すなどして、一段と勇ましい表情に仕上がった。

 新たな息吹が吹き込まれた初凧。再生を依頼した1人、斉竹武男さん(67)も出来上がりを楽しみにしている。

 長男健彰さん(30)の凧で、実はこの初凧は当時、雨で揚げることができなかった。破れていたり、色があせたりしていたが、お色直しを終えた初凧は約30年を経て、5月の凧まつりで揚げられる予定だ。斉竹さんは「一度も揚げていないので楽しみ」と心待ちにする。

 保存会にとって、初凧再生は活動費に充てられる新たな事業になり、今後の初凧の注文増加も期待される。ベテラン会員に指導を受けながら後継者が色づけなどをできる機会にもなり、課題となっている後継者の育成にも役立つという。

 再生の注文は田原まつり会館=電話0531(22)7337=で受け付けている。

 価格は次の通り(お色直し、裏打ちの順)。
 9枚凧(小)=3000円、2000円▽16枚凧(大)=4000円、3000円▽25枚凧(特大)=5000円、4000円

2021/04/18 のニュース

小嶋さん㊧を講師にした裏打ち作業(田原まつり会館で)

お色直し前の斉竹さんの初凧(同)

裏打ち、お色直しを終えた斉竹さんの初凧(同)

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