ブランドと伝統守れ

東三河の農家人手不足表面化/魅力ある仕事へ支援に重ねる工夫/東南アジアの留学生の手借りて―

2017/11/27

 全国有数の農産地帯である東三河の農家で、後継者や働き手がいない問題が表面化している。根強い人気を誇る「蒲郡みかん」を栽培する柑橘(かんきつ)農家は、約25年前と比べ260戸ほど減少。田原市の農家では高齢化が進み、外国人労働者の手を借りて栽培を行う傾向が進む。両市ではブランド品種や、伝統を守る取り組みが図られている。

 ■ブランド維持へ
 JA蒲郡市の「蒲郡柑橘組合」に現在加盟するミカン農家は約550戸。1960年代には900戸以上、1992年には817戸が加盟していたが、高齢化や後継者不在などに直面して「引退」を決断する農家が増えている。

 「蒲郡みかん」は程良い酸味と強い甘みが特徴で、2008年に特許庁から「地域ブランド」の認定を受けている。高い人気を誇る「温室みかん」の農家は、最盛期で300戸あったが、現在は約100戸にまで減少。JA加盟農家の平均年齢は60代となり、後継者不足が顕著となっている。組合員は「将来まで、蒲郡みかんのブランドを維持できるか心配」と危機感を示す。

 みかん栽培は、土壌や気候、育成法により出来栄えが大きく異なり、豊富な知識と経験を要する。収穫は年に一度。新たな木を植えてから、高品質なみかんの収穫までには、5年~10年の期間が必要とされる。

 農業経験がなく、畑を持たない者がみかん農家になるのは、現実的に困難な現状が横たわる。組合員の男性は「今後も大きく現状が変わることはない。現役の我々が、丹精を込めて作っていくしかない」と力を込める。

 JA蒲郡市は、休耕地の借り手を探す取り組みや、店頭に並ばない「加工用みかん」の商品化など、農家を支援する取り組みを進めている。「生産者は減っても、収穫面積は維持する」と目的を掲げ、ブランドを守る意識を高めている。

 生産者の数は減少したが、ひと昔前と比べて「蒲郡みかん」の品種は増加。約30品目が収穫されている。各農家は、品種改良などの工夫を重ね、年間を通じて販売できる体制を構築した。

 組合員は「努力次第で高品質になり、やりがいある仕事。みかん産業の魅力を感じてもらえれば、引き継ぐ人も増えるはず」と意欲を語る。

 ■東南アジアの研修生が増加
 田原市の農家では、高齢化が進行。近年は、外国人研修生を受け入れて、働き手を確保する動きが進んでいる。数年前には、農家に住み込みで働いている中国人研修生が失踪する事案が多発。在留や滞在資格などを得た途端に、姿を消す自体が相次ぎ、各農家を疲弊させた。

 近年は、東南アジアからの研修生が増加。フィリピンやカンボジア、ベトナムの若者が農作業に励み、失踪する事案は減少している。同市内の農家の男性は数年前、共に働いた中国人研修生の失踪に直面。現在は東南アジアの研修生数人を受け入れている。「働きぶりに問題はない。性格も明るく接しやすい」と話す。

 男性は、家族と研修生で広大な畑の農作物を栽培。高齢の家族が農業を辞める際には「現状の規模での栽培は難しくなる」と将来を懸念する。市内では後継者のいない農家が、土地を明け渡す事例も増えてきている。男性は、「どの農家も人材確保には苦労している。しばらくは、研修生の手を借りて頑張りたい」と話している。

2017/11/27 のニュース

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