育てた麦を余さず活用/きょう夜の本番で試飲も/新城
2025/08/15
ビール完成を報告する山本会長㊧ら(新城市役所で)
新城市乗本の本久区に古くから伝わる「乗本万灯(のりもとまんどう)」は、一抱えもある麦わらの束を燃やし、縄を持って振り回す勇壮な盆行事だ。このわらを確保するため、地元有志は昨年から小麦栽培に挑戦。副産物である麦の実を使って、クラフトビールも出来上がった。
「乗本万灯の麦を作る会」のメンバーらが昨年11月に種をまき、今年6月に刈り取った。7月27日には、収穫したわらで万灯作りを行った。
ビール造りは刈谷市の醸造所に依頼。瓶(330ミリリットル入り)240本、たる(10リットル入り)3本を13日に受け取った。
たるビールは15日夜にある今年の乗本万灯で振る舞う予定で、見物客も試飲できそう。瓶ビールは住民に配り、麦作りへの理解を広げる。
昨年度と今年度は市の交付金を活用した。将来的にはビールを販売し、活動資金に充てたいという。13日には、作る会の山本貴則会長(44)らが市役所を訪れ、下江洋行市長にビールの完成を報告。「気持ちを込めて育てたので、おいしく味わってもらえると思う」と期待を語った。
本久区で万灯係を務める柿原清章さん(68)によると、地元の小麦生産は30年ほど前に途絶えた。近年は別の地区で栽培してもらったほか、市外から購入したこともあったが、シカの食害などでそれも難しくなっていた。