圧巻のエンヤ曳 貴重な御垣内参拝
2026/08/17

勢いよく御用材が内宮神域へ引き揚げられたエンヤ曳(三重県伊勢市で)
約1時間の昼休憩を終え、川曳(かわびき)はいよいよ終盤へ突入した。五十鈴川に顔を出す烏帽子(えぼし)岩から上流の堰(せき)も越えると、年越しのテレビ中継でよく登場する宇治橋には大勢の見物人が押し寄せ、こちらを見下ろしていた。ここで、川曳の最大の見せ場で、もう一つの撮影スポットでもある「エンヤ曳」が行われた。
宇治橋のたもとから、伊勢神宮の内宮へ御用材を曳き上げる儀式。数百人の曳き手たちが綱を引っ張り、御用材を載せた木ぞりが狭い場所を勢いよく駆け上がるため、関係者は見物人らを移動させて安全を確保した。ここでも木遣(きや)り歌が合図となり、曳き手らは「エンヤ!エンヤ!」と力強い掛け声で綱を引くと、御用材はあっという間に神域へ入った。筆者も拍手で曳き手らと健闘をたたえ合った。
内宮神域に入ってからは粛々と参道を進み、御用材を納めたが、最後に特別な体験が待っていた。一般参拝よりも正殿に近い場所で特別に参拝できる「御垣内(みかきうち)参拝」だ。
正殿の周囲には板垣が張り巡らされ、この内側が御垣内。本来なら伊勢神宮を統括する神宮司庁の許可を得るか、勾玉会を通じて事前に申請し、礼装などで臨む場所に、曳き手たちは法被姿で入ることを許された。神職の合図で、天照大神がまつられた正殿に頭を下げ、かしわ手を打つ。時間にしてわずか10秒ほどだったが、充実感と安堵(あんど)感に包まれた。
今回、伊勢神宮門前の宇治地区から招待され、73年ぶりに参加した豊川市国府町の大社(おおやしろ)神社と地元連区の人たちの取材も兼ねた。熱中症にかかったり、川の中で転倒したりした人もいたが、大社神社の鈴木忍宮司は「無事に御垣内参拝もできて喜んでいた。町内の結束が強固になったと感じた」と振り返った。